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2019/12/13

透明駒ことはじめ1手3手【かしこ編】

 透明駒ことはじめ1手3手のかしこ編です。
 ばか詰のときと異なり玉方が抵抗してきますが、透明駒を双方うまく利用して手を紡いでいる感覚はばか詰のときと大きく変わりません。
 透明駒の基本的事項はばか詰編から学べることが多いと思いますので、未読の方はそちらを先に確認いただくのをオススメいたします。

※ここでの「かしこ」とは"ばか詰の場合と異なり玉方が抵抗するルール"のことを指します。最善詰、詰将棋いずれも包含する概念(総称?)として利用する方もいらっしゃいます。
 コンセンサスが無い呼称かもしれませんが通りが良いので使用しました。
 なお、本記事は「かしこ」の呼称内容がメインの話題ではありませんので、今回は軽く流します。


 まあ、要するに以下の作例は「透明駒が存在している以外はすべて普通の詰将棋」と理解ください。よって透かし詰めも可ですし、その他のルールも普通詰将棋に準拠します。
 透明駒として説明すべきことはあらかた前記事で説明してしまったので、今回の作例は少なめです。かしこの3手以内に何かしらをまとめるのが難しいともいえる…?

 まず出題図だけ置きます。もっと下にスクロールしたら解説があります。

注1:全て上谷直希作です。クレジットが無い図に関してはココが初出です。
注2:出題図の(N+M)といった表記は、攻方に透明駒がN枚、受方に透明駒がM枚あるという意味です。


 また、余詰や非限定などの不備、類作・同一作等ございましたらご連絡ください。対応いたします。

【出題】
①詰将棋 1手 (1+0)
2019-12-13a.png

②詰将棋 3手(0+1)
2019-12-12a.png

③詰将棋 3手(1+0)
 初出:透明駒はじめてガイド 当ブログ
rereere.png

④詰将棋 3手(0+1)
2019-12-10b.png

ヒント:ばか詰編の⑫と比べてみてください。

【以下、解説】




① -X まで1手詰

 この初手。駒種も着手地点も分かりませんが、どこからのどんな手であっても受けはありませんのでこれで詰み。
 さて、本図がもしばか詰1手詰だとどうなるでしょうか?ばか詰では無駄合の概念がないため22合や21合といったいわゆる手数稼ぎでしかない合駒も有効合と判断されます。よってこの図がばか詰ならば1手では詰まないと考えなければいけません。
 本図は普段の詰将棋解図と同じように考えればいいので、上記のような合駒は無駄合と判断できます。
 
 ……この理解であってますよね?あってるはず……。

② 19飛、-X、29桂 まで3手

 初手は19飛の一手。受方はこの飛車を透明駒で取って王手解除したいのですが、この飛を取り返せる透明駒の可能性が存在しないことがお分かりいただけるでしょうか(もし初形配置を99飛ではなく89飛などとしてしまうと2手目同Xが可能になってしまい不詰図となります)。

 よって受方は抵抗できるといっても2手目同Xと宣言できません。他の手で抵抗することになりますが、単純に18歩合などでは-Xで即詰みです(同手数駒余り)。ばか詰編の⑤で予習済の手筋ですね。
 3手目に-Xと宣言させないために、相手は「透明駒は初手で取られていない!なぜならば受方である私が2手目に使っているからだ」と主張します。2手目-Xはそんな意味合いの手でした。以下は29桂までで詰み。相手の透明駒がもう1枚あれば同Xと取り返せるのですが生憎透明駒は使い切ってしまいました。18地点の透明駒はピンされていて身動きがとれないのは明白ですね。

③ (A)52銀打、(イ)同金右、72銀成 まで3手
※左右対称解も正解です

 そういえばまだ開き王手の作例を出してないなと思い提示。
 以下コピペ

 初手52銀打に対して後手はどちらかの金で取り返すしかありませんが、どちらの金で取ったかを確認してから、どっちの銀で開き王手を行うか決めるのがミソ。(イ)同金左ならば32銀成まで。
 先手が所持している透明駒は1枚。飛(or龍)の存在を銀の開き王手で主張するにしても左右どちらか一方でしかできないわけですが、相手の応手(同金右?or左?)を見た上で開き王手の左右を決定する"後出しジャンケン"によって左右どちらの開き王手パターンにも対応可能となるわけですね。
 「透明駒は1枚だが、右にもいるし、左にもいる……?」という錯覚に陥ること間違いなし!?
 
※(A)72銀成、61合、52銀打では、同金右と対応してくれたならば作意と同様の詰みですが、当然同金左とされて詰みません。作意順と比べてみてください。




ヒント:ばか詰編の⑫と比べてみてください。
 →解説編 

13歩成、-X、22とまで3手 

 ばか詰編の透明玉では"玉位置を特定しないことには始まらない"場合が多く、⑫ではそのために歩不成が登場しましたね。
 ただ本作で初手13歩生をするとどうでしょうか?玉位置は特定され透明駒ではなくなりますが、だからこそ受方は23玉と明確に座標を指定して上部に逃げられてしまいます。
 本作の場合は歩成が正解。玉位置が特定されていない(透明性が剥げない)ので2手目は-Xとするしかありませんが、畳みこんで22と。
 初手も3手目も王手となる合法的な玉移動は12→11しかないことをご確認ください。本作は"初手で玉位置を確定させるのに確定させない"のが狙いでした。

 宿題:最終手22馬でも詰みでしょうか?
    答えはまた後でコメント欄にでも書きます。

 この"敢えて玉位置を特定しない"狙い。多くの前例があります。より発展させた名作もあるので、また何かの機会にご紹介できればと思っています。
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2019/11/30

透明駒ことはじめ1手3手【解説編】

出題編はこちら
-------------------------

【透明駒ルール】高坂研氏 「透明駒をはじめから(1)」より引用 
         ↑入門記事としてオススメです。

(1) 出題図は合法な局面である。また、双方の着手はすべて合法である。(即ち、双方とも将棋及び詰将棋のルールは守っている)
(2) 先手の透明駒の着手は必ず王手である。
(3) 存在する場所と駒種の両方が判明すれば透明駒は可視化され、それ以降は普通の駒として扱われる。
(4) 詰上りの判定においては、透明駒に対し可能性のあるすべての駒種を代入して、それらが全て詰みを与えるときのみ詰んでいると見做す。

更に、透明駒が透明である故に、以下のことも自然な要請として入ってきます。

(5) 透明駒の着手について、
  a) どの枡への着手なのか
  b) どの駒種の着手なのか
  c) 成ったかどうか 
  は表記できない。
(6) 持駒の表記が「なし」であっても、透明駒が持駒になっている可能性はある(つまり、この「なし」は、「駒台に可視化された駒はない」という意味である)。



また、透明駒の着手を『-X』と表記する場合や、『-I』(Invisible)と表記する場合の両方がありますが、どっちかに決まっているわけではありませんのでとりあえずここではXのほうの表記法を採用します。
 (私自身もどっち使えばいいか分かっていません)

【以下解説】
注1:全て上谷直希作です。クレジットが無い図はココが初出です。
注2:出題図の(N+M)といった表記は、攻方に透明駒がN枚、受方に透明駒がM枚あるという意味です。


【協力詰(ばか詰)】先後協力して最短手数で受方の玉を詰める。

①ばか詰 1手 (1+0)
2019-11-30b.png
  -X まで1手詰

初手は透明駒を使うしかなく、たとえば+12(透明駒が12地点の桂を取っての王手という意味)としてもいいかもしれません。しかしこれは同玉と取り返されて失敗。

 作意順は-Xまでの1手詰。駒取りでない透明駒の王手は23桂の可能性しかありません。そしてこの王手で即詰みとなっています。
 この桂馬は、盤上の桂が跳ねたのか持駒の桂を打ったのかは分かりませんし、どちらかに確定するわけではありません。ただ、どちらでも詰んでいるのは変わりませんので決めなくてOKです。初めての方には不思議な感覚かも。

【Q and A】

Q:本作の解答の表記は『-X』ではなく『23桂』ではないのですか?
A:-Xとなります。
 透明駒が透明駒でなくなる(以下「可視化される」)のは、地点と駒種が分かってから。着手前の状態では透明駒の情報は何も分かっていませんので、Xとしか言いようがありません。
 本作の場合、初手透明駒の王手!と宣言した後で透明駒が可視化されるのです。ただ、それさえ理解していれば 『-X(23桂と判明)』といった表記法はアリかも。現在、厳然たる表記法の決まりは存在していないので、伝われば何でもいいと思います。


 
②ばか詰 1手 (1+0)
 初出:フェアリー時々詰将棋『透明駒はじめてガイド

2019-11-30c.png
  -X まで1手詰

①と異なりX=23桂とは限りません。それ以外の王手候補もたくさんありますが、そのいずれの着手でも詰んでいるので1手詰と判断できます(逆に言えば、1つでも詰んでいない王手がある場合は不可です)。
 ただ、1つ困るのはX=12歩打の着手に関する解釈でしょうか。結論を言えば「Xと指せた以上この手は合法なので、非合法な着手である可能性(12歩打etc)は自動的に排除される」という論理になります。

『透明駒はじめてガイド』該当部分より引用)

→すべての可能性が残っていると考えると、出題図(0手目の時点)ではX=持駒の歩の可能性は当然加味される
→初手-Xとする
→局面、手順の合法性を守るため、X=持駒の歩の可能性が消去される
 という、時系列的には逆立ちした論理展開が生じます。
 この”逆立ち”感が透明駒作品の特徴で、ここが面白いのですが、なにぶん分かりにくいため入門の妨げとなりやすいのが泣きどころです。



 詳細についてはリンク先をご確認ください。

③ばか詰 1手 (0+1)
2019-11-30m.png

 11金まで1手詰

 受方に1枚透明駒があり、これは攻方の王手に対して適宜対応できる受駒として機能してきます。例えば初手31金では同Xと受けられてしまいます。1段目の飛車か、あるいは他の駒(金、銀、角、各種成駒などなど)なのかは分かりませんが、ともかく透明駒に取り返されてしまいます。
 では作意順の11金はどうでしょうか?周囲を駒に包囲されているので、11金を取り返せる合法的な透明駒が存在しません。即ちこの形は、受方がたとえ10枚ぐらい透明駒を持っていても1手詰なのです!

 金を右から打つのか、左から打つのか?同じようでも全く違うのでした。
 
④ばか詰 3手 (1+0)
2019-11-30f.png

 12と、同飛、-X まで3手詰

 ①、②の場合と異なり初手-Xは12金と対応され詰みません。ここで受方は、「初手は12への駒打or移動でした」と自分に都合のいいように解釈しています。
 上記の手順を防ぐため作意順では事前工作として12地点を埋めておきます。そうすれば-Xの可能性は①の場合と同様23桂のみとなりますね。
 
⑤ばか詰 3手 (0+1)
2019-11-30f.png

※透明駒が(1+0)から(0+1)になっています。

 12と、同飛、-Xまで 3手詰

 ④と形も一緒。棋譜表記も一緒。でも中身は微妙に違います。
 攻方は透明駒を持っていないはずなのに、3手目で使っているのはどういうことでしょうか?これが理屈として通る手順を考えます。

3手目に攻方が透明駒を使った
→初手12金は実は駒取りだった


 こう考えるしかありませんね。別の言い方をすれば、「攻方は3手目-Xと宣言することで、逆算的に初手を駒取りに決めた」ことになります。透明駒おなじみの「時系列が逆立ちした論理展開」ですね。ここが面白い!?

 それにしても相手の透明駒を減らして自分の透明駒を増やせるこの筋の強力さといったら!
 ドッジボールで外野の人が相手の内野に当てたときみたいですね。

⑥ばか詰 3手 (1+0)
2019-11-30e.png

 +99、21玉、22金まで3手詰

 「+99」は、透明駒で99の駒を取ったという意味になります。
 ちなみに、この図で99の駒を取って11の玉に王手できる駒は馬しかない(角だと合法な局面が存在しない)ので、初手を宣言した瞬間に透明駒の地点と駒種が確定し可視化されます。 
 
⑦ばか詰 3手 (1+0)
2019-11-30g.png

 -X、21角合、-Xまで3手詰
 
 2手目を指すことで、初手が飛か龍の王手であったと決まります。
 その上で3手目にXとできるのは龍だけですね。即ち31龍(or飛成)~22龍という手順であったと判明します。

[紛れ]
 -X、22歩合、+22では21玉とされX=角と主張されます。

⑨ばか詰 3手 (2+0)
2019-11-30l.png

 -X、33飛合、-Xまで3手詰

 守備駒が強く、22地点や12地点への攻めはうまくいきません。
 2手目、敢えて飛合をすることで3手目を23地点への着手に絞り込むことができます。やたらX=23桂までの詰め上がりが続きますがこれはわざとです(統一感があるかなと)。 

-------------------------------------------

⑩ばか詰 3手(0+1)
初出:自分なりの透明駒の門戸 (WFP91号 38p~)
2019-12-11a.png

 17香、–X、25 金まで 3手

 16地点を埋めたら1手詰だなぁ…、という感覚は普通のばか詰のときと一緒。
 ③の解説を読んだ方ならば、だからといった17香、16歩合、25金ではダメなのはお分かりでしょう。
 
 以下リンク先より引用

A「2 つぐらい疑問があるんだけど」
B「どうぞ」
A「17 香に対しての –X ってつまり 17 香に対する考えられる応手すべてが候補としてあるってことでしょ。それなら 16合以外にも透明駒で 17 の香を取った可能性もあるんじゃないの?」
B「透明駒の挙動についてね。確かにそうなんだけど、その両者だと視覚的に同一じゃないから、区別されるね。」
A「?視覚的に同一??どういうこと?」


 ここまでコピーして「長ぇな」と思ったので詳細はリンク先をご確認ください。
 上記のように会話調で進むので読みやすいかなぁと。

⑪ばか詰 3手 (0+1)
 初出:Web Fairy Paradise91号 
2019-11-30j.png

 61金、+61(同X表記も可)、42銀まで3手詰
※左右対称解(初手41金~)も正解。

 受方の透明駒の防御力は③で予習済です。本作では透明駒の位置を確定してしまって、そこから届かない位置に銀を据えて詰みとなります。同じようでも3手目52銀ならば透明駒に取り返されてしまいますからね。

 透明駒の駒取り表記については、2019/11現在色々な表記が混在していて悩ましいです。そのうち統一された何かに決まるかもしれませんが。
 
⑫ばか詰 3手 (0+2) ※難しめ。
2019-11-30k.png

 13角、22飛合、41飛まで3手詰

 22地点を埋めたいので初手は第一感。2手目-Xとしたら透明駒の戦力を1枚分減らせそうですが、受方は2枚透明駒を持っているので削ぎ切れません。
 ここでヒントを思い出します。

ヒント:41飛としたいところ。もし41の飛を透明駒に取られるとしたら、その駒種は何?
 答 → 飛か龍しかありません。51や42の金や馬だとしたら非合法な初形となるからです。


 つまり、透明駒が飛や龍でないことさえ証明してしまえばいいのです。飛を品切れにする(可視駒として2枚消費してしまう)ことで、透明駒の種類は分からないけど、少なくとも飛・龍ではないことが確定した局面をつくることができました。

 余談ですが、③と同様、この図は受方透明駒の枚数がたとえ10枚以上でも関係ないですね。1枚だと余詰がありますけど。

⑬ばか詰 3手 (0+1)
2019-11-30a.png

ヒント1;詰ます対象の玉が見えません。つまり玉が透明駒になっているのです!
    適切な王手で玉がどこなのか特定してみましょう。
ヒント2;透明駒は、存在する地点と駒種がともに判明すれば可視化されます(駒種はすでに玉で確定している)。判明した後は普通駒として使えることを利用しましょう。
 
 53歩生、51玉、52金まで3手詰。

 ヒント2を読めば初手は発見できたのではないでしょうか。初手を指した瞬間に後手玉の位置が確定し透明駒ではなくなるので、2手目から普通の玉と同じ使い方ができるのです。
 同じようでも53歩成では玉位置が確定しないので透明玉のまま扱うしかなく、2手目の表記は-Xとするしかありません。これでは52金としても詰んでいるか分かりませんね。

-------------------------

⑭ばか詰 3手 (0+2) ※応用です。腕試し的。
2019-12-01a.png

 91角生!、-X、28角成まで 3手

<他の作品より難しいので詳しめに書きます>
 玉位置が確定しないことには詰みそうにありません。手が絞れそうな順を探します。初形の飛角があからさまにバッテリーの配置なので、開き王手を主張したいところ。しかし例えば初手73角成(生)では玉が18地点の他、62や51地点にいるかもしれないので透明性を剥がせません。ヒネって91角成でも、81や92地点の可能性が残ります。
 作意順の91角生!はどうでしょうか。この角自体が王手をかけられる玉位置は存在しないことをご確認ください。そうなると初手は開き王手しかないことになり、晴れて18地点の玉が確定します。
 初手を指した瞬間、相手玉は透明駒ではなくなります。よって2手目の-Xはもう1枚の透明駒と判断できます。この駒種は分かりませんが、28地点への合駒であるのは間違いありません。あとはこれを28角成と取れば詰みです(3手目の表記は『同角成』のほうがいいんですかね?)。
 確認いただいた通り、本作は透明駒余りとなる作品です。ちょっと不思議かもしれませんが、2019年現在のルールでは透明駒余りが認められているので完全性に問題はないと考えています。

 「そうは言ってもなんだか気持ち悪いなあ。透明駒を0+1にして2手目を29玉とかにできないの?」と思われるかもしれませんが、それは2手目28歩合などがあり不成立です。

 とまあ、最後に派手めなのが1作あってもいいかな!?って感じの出題でした。
 ルールのじゃなくて中身の話をすると、不成~成のオマケ付けの最短スイッチバックになったのはラッキーだったなと思います。シンプルにできたのでちょっとお気に入り。

--------------------

いかがだったでしょうか。透明駒特有の雰囲気がなんとなくでも伝わればいいなと思います。

 透明駒の世界はまだまだ広大ですので、詰パラ12月号の出題はもちろんのこと、WFPやプロパラもチェックしてみてください。
他にも入門記事が読みたい!という方には透明駒はじめてガイドがオススメです。
2019/11/30

透明駒ことはじめ1手3手【出題編】

 ご無沙汰しております。
 さて、月末ということで詰パラ12月号がそろそろ届いている頃でしょうか。12月といえば短コンも楽しみですが、今年は透明駒10周年の記念作品展も開催とのこと。
 
 透明駒の露出が増えるのは喜ばしい限り。さらに欲を言えば、もっと多くの方に透明駒の魅力を知っていただき、ご解答いただきたいところ。そんな気持ちで入門用の記事をそれなりに色々書いてきたのですが、やはり文章では分かりにくい部分もあると思います。やはり実際の易しめな作例をたくさん見てもらうのが一番分かりやすいはずと思い、いくつか用意してみました。

 本当に1手と3手のばか詰しか載せていません。意図的に紛れを減らしたりしているので是非ご挑戦を。透明駒の"感じ"がなんとなく伝われば幸いです。

 透明駒のルールについては『透明駒はじめてガイド』をご参照ください。
 「リンク先を読んだけど文章ばかりでよく分かんねえぜ!」って方は、作品解説verの記事もすぐ上げますのでそちらをお待ちください。
 たかが1手3手と侮るべからず。ある程度の手筋はここを読むだけで網羅できるはず!?

注1:全て上谷直希作です。クレジットが無い図に関してはココが初出です。
注2:出題図の(N+M)といった表記は、攻方に透明駒がN枚、受方に透明駒がM枚あるという意味です。


 また、余詰や非限定などの不備、類作・同一作等ございましたらご連絡ください。対応いたします。

【協力詰(ばか詰)】先後協力して最短手数で受方の玉を詰める。

①ばか詰 1手 (1+0)
2019-11-30b.png

※ここでいう「持駒なし」とは"可視駒はない"という意味ですので、透明駒は持駒にいるかもしれませんし、盤上にいるかもしれずどちらかは分かりません。

②ばか詰 1手 (1+0)
 初出:フェアリー時々詰将棋『透明駒はじめてガイド』

2019-11-30c.png

③ばか詰 1手 (0+1)
2019-11-30m.png

④ばか詰 3手 (1+0)
2019-11-30f.png

⑤ばか詰 3手 (0+1)

2019-11-30f.png

⑥ばか詰 3手 (1+0)
2019-11-30e.png

⑦ばか詰 3手 (1+0)
2019-11-30g.png

⑧ばか詰 3手 (1+0) 余詰により欠番。また他の図で埋めます。

⑨ばか詰 3手 (2+0)
2019-11-30l.png

-------------------------------------------

⑩ばか詰 3手 (0+1) 
初出:Web Fairy Paradise 91号
2019-12-11a.png

⑪ばか詰 3手 (0+1)
 初出:Web Fairy Paradise91号 
2019-11-30j.png

⑫ばか詰 3手 (0+2) ※難しめ。
2019-11-30k.png

ヒント:41飛としたいところ。もし41の飛を透明駒に取られるとしたら、その駒種は何でしょう?

⑬ばか詰 3手 (0+1)
2019-11-30a.png

ヒント1;肝心の詰ます対象の玉が見えません。つまり玉が透明駒になっているのです!
    適切な王手で玉がどこなのか特定してみましょう。
ヒント2;透明駒は、存在する地点と駒種がともに判明すれば可視化されます(駒種はすでに玉で確定している)。判明した後は普通駒として使えることを利用しましょう。

⑭ばか詰 3手 (0+2) ※応用編です。後回しがオススメ。
2019-12-01a.png

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解説編はこちら
2019/08/14

透明駒はじめてガイド

最近は透明駒の露出が増えてきたような、そんな追い風の気配があります。
 
 ルールについてたくさんの方が説明していらっしゃる記事もたくさんあります。ただ、厳密なルール記載については、WEB上でしっかりとしたものは少ないようです。
 ※書籍であれば、『この詰将棋がすごい!2015』の會場氏の原稿が一番詳しいと思います。
 (私はそれを読むまで透明駒のルールはさっぱりでした。購入方法については詰パラ7月号『ちえのわ雑文集』などをご参照ください)

 引用ばかりになってしまいますが、WEB上で透明駒についてまとめているサイトのリンクをこちらに載せていただいたり、ルール記載についてもまとめさせていただこうと思います。
(2020/02/29追記)下にルールもまとめておりますが、多分はじめに文章のみのルール説明だけ読んでもちんぷんかんぷんになってしまうのではないかと思います。
 実際の作例がルール理解の大きな助けになるはず。はじめは下にご紹介しているリンク先で作例を確認し、それと照らし合わせる形でルールも確認するという順をおすすめします。


【透明駒についてネットで読めるもの】

透明駒をはじめから(mixi内) 
 高坂研氏

 その名の通り、透明駒をこれから始めよう!と考えていらっしゃる方には最適です。
 高坂さんお得意のレトロについても触れられています。

詰将棋における透明駒の説明(詰将棋日和)
 時風瑞季氏

 ルール解説を例題を用いながら端的に的確にまとまっています。
 読みやすいのが良いですね。

透明駒のご紹介(WFP83号内 リンク先72p~)
 會場健大氏

 ルール解説に重きをおいている記事です。
 解答記載のときにも役立ちそう。

自分なりの透明駒の門戸 (WFP91号 リンク先38p~)
 上谷直希

 一番読み物テイストに徹している!?
 会話形式なので読みやすいかなあと思う反面、ルールについて体系的には述べられていません(致し方ないか)。他の皆様のルール解説とあわせて読んでいただければ……。

(短手数の例題のまとめ)
 透明駒ことはじめ1手3手【出題編】
 透明駒ことはじめ1手3手【解説編】
 透明駒ことはじめ1手3手【かしこ編】(いずれも当ブログ)

 1手詰から掲載。作例は多め。一通りの手筋を登場させたつもり。

【透明駒のルール】
透明駒のご紹介(上記リンク先と同様)より引用

 2019.8現在では少し状況が変わっている部分もあると思いますので、恐れながら私の方で追記させていただいている部分もあります。赤字部分が上谷による追加です。

1、【透明駒の定義】
 透明駒は位置、種類が不明の駒。40枚のうちのいずれかであることと、先後それぞれが出題図の局面において所持する枚数のみ既知。
付則
1.1 (位置の定義)
「位置」とは、盤上の 81マスと双方の駒台2ヶ所の計83箇所である。
1.2 (種類の定義)
「種類」とは、成生を区別した計14種とする。
2、【透明駒の表記法】
 透明駒の棋譜表記は「-X」とのみ表記するものとし、位置や成生右左などの併記は一切不可とする。ただし、普通駒が透明駒によって取られた場合に限り、その位置を表記できる。
 ※Problem Paradiseなどでは「-X」ではなく「-I(Invisible)」という表記が採用されています。
 現在では完全になにかの表記に統一されているわけではありませんので、XやIのどちらの表記法を使っても問題ないと思います。

3、【着手の原則】
 それが不可能であると証明されない限り、双方の手はすべて合法手であり、また先手の手はすべて王手であるとみなさねばならない。
4、【透明駒の可視化】
 ある透明駒の位置、種類がともに一意に定まったならば、その時点でその透明駒は普通駒となり、以後透明駒の表記法による制約を受けない。
5、【詰みの定義】
 詰み、その他各種の達成条件は証明されねばならない。



(Q&A)
Q1 透明駒が双方に何枚いるかの表記法は?
  例えば3手のばか詰で、透明駒が攻方にN枚、受方にM枚ある作品の場合、
   ばか詰 3手(N+M)と表記することが多いです。
   透明駒が攻方に1枚、受方に0枚ならば(1+0)という表記になりますね。
  
 ただ、もっと分かりやすく「透明駒:攻方N枚、受方M枚」と表記しても問題ないと思います。
 
Q2 透明駒が持駒にいる可能性があるときの持駒の表記法は?

 見える駒(透明駒以外の普通駒)のみの表記となります。
 例えば攻方の持駒に歩と透明駒が1枚あることが分かっており、受方に持駒制限のない作品の持駒表記は、

先手:歩
後手:残り全部

 としてください。後手の持駒を全て表記(ex:飛1角2金4銀4…)してしまうと、透明駒が消去法的にバレてしまい(ex:「飛が1枚無い!つまり透明駒は飛っぽいな!」)、出題になりませんので笑

追記:上の内容に関係があるかどうかは分かりませんが、現行のルールでは透明駒余りが許容されていることも付記しておきます。

Q3 透明駒の駒種には玉も入る?

 入ります。
 双方の玉が透明駒として存在する、双玉作品の出題もありました。
 
Q4 持駒制限があった場合の透明駒の駒種はどうなりますか?
 
 特別な記載がなければ、40枚のうちのどれかとという解釈で、多くの場合大きな問題にはならないと思います。
 そうでない作品の場合は出題時に説明があるでしょうから、それに従ってください。

Q5 駒取り時の表記法は?
 
「+(駒取り地点)」と表記されることが多いです。
 ただ、Problem ParadiseなどではIx(駒取り地点)という表記になります。

(例)こういう順の3手詰があったとします(駒余りなので詰将棋ではないんですけど)、
ばか詰 3手(1+0)

2019-08-14a.png

【協力詰(ばか詰)】先後協力して最短手数で受方の玉を詰める。

 -X、12銀、+22 まで3手駒余り という作意表記になりますね。
(13龍、12銀、22龍という手順を想定しています)

 一方Problem Paradise表記(すなわち、本家であるチェスプロブレムに近い表記法)で同じ手順を書くと

 -I、12銀、Ix22 となります。

 見た目は異なりますが全く同じ手順のことを指しており、どちらの表記を使っても構いません。

Q6 「双方の手はすべて合法手」とはどういう意味?
 
 この概念には少々ややこしいところがありますので、まずは下の図をご覧ください。

ばか詰 1手(1+0)

2019-08-14b.png

-X まで1手
 
 -Xの王手候補としては、12(飛、金、銀、香、歩、各種成駒)、23(桂)で全てです。
 この王手が持駒由来や盤駒由来かどうかさえも分かりません。ただ、どの可能性であっても詰みであることは変わりませんね。
 
5、【詰みの定義】
 詰み、その他各種の達成条件は証明されねばならない。

 に従い、すべての着手可能性で詰みを確認できたので、この作品はこれにて1手詰となります。

……ただ、1つだけ疑問が残ります。
 
「持駒が歩であったら打歩詰の反則じゃないの?」

 これはその通り、初手に反則手の可能性が混じっているじゃないか!?これはどうなるんだ?という疑問です。

 反則手が混じっているからこれは不詰図!?……いえいえ、そうは考えません。
 ここで「指せた手は合法」の概念が役に立ちます。

先手が-Xと宣言する。この瞬間に、この手が合法な王手であることが保証されます。よって、-Xの着手候補のなかから、12角といった非王手や、12歩打といった非合法な王手の可能性が消えるのです。

 すなわち、
→すべての可能性が残っていると考えると、出題図(0手目の時点)ではX=持駒の歩の可能性は当然加味される
→初手-Xとする
→局面、手順の合法性を守るため、X=持駒の歩の可能性が消去される

 という、時系列的には逆立ちした論理展開が生じます。
 この”逆立ち”感が透明駒作品の特徴で、ここが面白いのですが、なにぶん分かりにくいため入門の妨げとなりやすいのが泣きどころです。

 この概念をより発展された作品は多数発表されておりますが、そのなかでも短手数かつ論理が明快、作者解説も充実しているということで以下の作品を引用させていただきます。

 高坂研氏作 (WFP105号 教材に使えるフェアリー作品展)
ャ

 詳細は結果稿(WFP107号 55p~)をご参照ください。

Q7 透明駒は判明させないといけないの?
必ずしもそういうわけではありません。Q6での例題のように、最後まで透明駒が透明駒のままで詰みに至る作品も多くあります。
 ただ、透明駒を判明されることが、詰みの利益になる作品が多いのも事実です。

宮原航氏作 ばか自殺詰 4手 (0+1)
(初出はTwitter? 『この詰将棋がすごい!2015』より孫引き)
2019-08-14c.png

【自玉詰】自玉を詰めることを目的とする。

(A)99角、+99、22金、+22 まで4手

 単純に初手から(A)22金、+22 と進めても、22地点の透明駒が何であるか分かりません。その駒がそもそも王手をかけているかどうかも断言できないくらいです。
 初手99角!がここしかない限定打。
 上記の4手により、99地点→22地点へ透明駒は移動したことになりますが、こんな動きができるのは角か馬しかないのは分かります。もう少し考えると、99地点の角を取る駒は横利きか縦利きを有するしかない(99角という王手駒をナナメから取ることはできない)ことも分かってきます。
 これらの証拠より22地点の駒が馬であることが証明され、詰みとなります。

※(A)88角、+88~では、受方透明駒が99地点に配置された角であった可能性が消えず、4手目の時点でI=馬であることを断言できないため詰みとは言えません。
※+22と着手することで上記のような情報が得られる。すなわち、4手目を指そうとする時点では透明駒が馬であるとは分かっていないわけなので、4手目の表記を「同馬」とすることはできません。X=馬と扱えるのは4手目を指し終わってからの話です。

 一方で、透明駒を判明させないことが利益となることもあります。

岡谷阿矢子氏作(Problem Paradise ,Shogi, U191)
 かしこ詰 7手  (0+1)

2019-08-21a.png

※かしこ詰。玉方は普通詰将棋と同様に抵抗してきます。

(A)24桂、-X、31銀、-X、21金、同玉、22銀打 まで7手

 詰ませる対象の駒が見えません。受方の1枚の透明駒は玉を指しているということですね。
初手からいきなり(A)11銀や(A)13桂とすれば、玉位置が確定し玉の透明駒を剥ぐことが可能てすが、玉が透明駒でなくなってしまえば普通詰将棋と一緒ですので、この裸玉を小駒だけで捉えるのは難しくなってしまいます。
 初手は24桂。これならば玉位置は確定せず、相手玉は透明のままです。いくら透明玉とはいえ、玉の性能では自身に王手をかけている桂を取り返すことは不可能ですので2手目は-Xとするしかありません。3手目31銀に対しても同様です。
 そして舞台が整ったところで、5手目21金と満を持して玉位置を確定させます(21の金が王手をかけているとすれば、玉位置は11しかありません)。よって5手目を指した瞬間、相手玉は透明駒ではなくなることとなりますので、6手目は宮原氏作の4手目とは異なり、「+21」ではなく「同玉」と表記することができます。
 途中まで、敢えて玉位置をぼやかしながら手を進めるのが攻方の利益につながるのですね。

 その他、透明駒が複数の可能性を同時に併せ持つことも可能であり、それが利益につながることもあります。分かりやすい言い方をすれば、「透明駒が作意・変化・紛れで別の駒となりうる」ということです。

例題:かしこ詰 3手(1+0)
rereere.png

(A)52銀打、(イ)同金右、72銀成 まで3手
  
 初手52銀打に対して後手はどちらかの金で取り返すしかありませんが、どちらの金で取ったかを確認してから、どっちの銀で開き王手を行うか決めるのがミソ。(イ)同金左ならば32銀成まで。
 先手が所持している透明駒は1枚。飛(or龍)の存在を銀の開き王手で主張するにしても左右どちらか一方でしかできないわけですが、相手の応手(同金右?or左?)を見た上で開き王手の左右を決定する"後出しジャンケン"によって左右どちらの開き王手パターンにも対応可能となるわけですね。
 「透明駒は1枚だが、右にもいるし、左にもいる……?」という錯覚に陥ること間違いなし!?
 
※(A)72銀成、61合、52銀打では、同金右と対応してくれたならば作意と同様の詰みですが、当然同金左とされて詰みません。作意順と比べてみてください。

 上記の例題はミニマムな表現でしたが、このような狙いをより発展させ、より鮮やかに表現した作品もあります。ここでも1作引用させていただきます。

高坂研氏 かしこ詰(1+0)
 「透明駒をはじめから」内 (mixi)

10857363_2313191581_186small.jpg

 詳細は透明駒をはじめから(5) をご参照ください。


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 ルールを厳密に取り扱おうとすると、今度は例図が少なくなり読みにくい…
 一方で読みやすい記事にしようと思うと、ルールの厳密さの説明があやふやになるリスクがある…とまあなかなかに透明駒の説明は難しいのですが、やはり一番の入門はたくさんの作品に触れることだと思います。

 幸い、透明駒はたくさんの作品の紹介・解説についてネットに纏められており、それらの解説に恵まれているルールだと思いますので、是非上に挙げたリンク先もチェックしてみてくださいね。
 そして、「あれ、ここはどういうことなのかな?」といった疑問点があったら、私やその他透明駒を得意としている方に質問してみてください。

 とまあ、取り急ぎ色々書いてみましたが、その他、必要だと判断した内容に関しては適宜追加していくつもりです。
2019/04/29

2018年記事一覧

気付いたらもうすぐ平成が終わりそうだし、ブログ放置しているし、新ネタは無いしだったのでとりあえず昨年の記事をまとめてお茶を濁すことにします。

■普通詰将棋
 ツイッターでの紹介作 
 詰将棋関連の新刊 
 平成29年度看寿賞 

■詰将棋イベント
 とり研FINAL 
 第34回詰将棋全国大会 EOGさんのブログなど  

■自作
 『上谷直希の詰将棋』リリース!! 
 2017/11 詰将棋パラダイス 中25
 詰将棋パラダイス2018.4 高校18
 詰将棋パラダイス2018.11 高校24

■フェアリー
 Isardam入門 
 AndernachIsardam入門 

■マイ・フェイバリット・フェアリー

アンチキルケばか詰 6手(受先)
禁欲打歩ばか詰 11手
③禁欲詰 21手  (②と同じ記事内で紹介)
マドラシばか詰 9手
アンチキルケマドラシ協力自玉詰 8手
協力自玉ステイルメイト 8手(透明駒使用) 
推理将棋 13手 
AndernachIsardam協力自玉詰 14手
⑨AndernachIsardam協力千日手 20手  (⑧と同じ記事内で紹介)
Andernach協力自玉詰 62手
2019/02/02

詰将棋パラダイス2018.11 高校24

 久々の更新です。
 いつも通りの、投稿用紙準拠の記事です(さすがに多少手を加えておりますが)

 自作(詰将棋パラダイス 2018/11 高校)

2019-01-30a.png

(A)65金、(イ)同香、(B)66銀、(ロ)同香、(C)82角、(ハ)45玉、73飛成、(ニ)56銀、
(D)同馬、同と、46銀、同と、(ホ)57桂、同と、46銀、同玉、43龍 まで17手詰


 良くも悪くも力作といった感じです。作意設定にも時間がかかりましたが、検討にはもっと時間がかかった記憶があります。時間がかからない作品のほうが案外完成度が高かったりするこの世界。でも、手のかかる子ほどかわいいものかもしれません。
 変化紛れについては長くなるので後述。
 
 検討しているときはさすがに諸々覚えていたはずですが、悲しきかな「あれ、ここってどうやってたんだっけ?」と忘れてしまう時期に差し掛かってきました。
 バリバリ毎日盤に向かっていた時期には「忘れるわけないじゃん」と思ってたんですけどね…。
 変化紛れの羅列された投稿用紙を見て、記録しておくのは大切だなぁと痛感しています。悲しい!
 
 過去数年の発表作の配置の意味、理由、意図はまだ辛うじて諳んじることができるはずなんですけど、きっと言えなくなるんでしょうね。今のうちに記録しておかないと。
 
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 何も無いところでのバッテリー形成が狙い。「82角~73飛成」がそれにあたります。
 前例があるテーマであることは承知しております。
 短編名作選の橋本樹氏のような打歩に絡んだ意味付けでなく、ただただ大駒の利きを利用した意味付けにすることにチャレンジしました。
 もちろんそうすることで完全な新味を得られるわけではないと思いますので、角打を中途半端な限定打(変化で71角成の余地を残すため)にするなどの付加価値を求めて創作してみました。1つ1つの要素は既存の筋からの借り物に過ぎないのかもしれませんが、組み合わせたら少しぐらいは珍しくなるのではないかと思います。

 手順としては、いきなり82角でも良いとは思うのですが、少し序に味付けができるならばしたほうが良いと判断し4手ほど加えました。おかげさまで変化はともかくきわどい紛れがいくつも生まれてしまいましたが、入りそうなものは入れたくなってしまうのが人情というもの。

 たま研で褒めていただいたり、えび研で解答しながら色々な感想を頂戴したりと、幸せ者な作品だなぁと思います。
 そして自作を褒めてばっかりでごめんなさい。なんというか、自作を公の場でけなすのって好きじゃないんですよ。採用いただいた担当者の皆様、解答・鑑賞してくださった方々に失礼じゃないかと思ったりしちゃって…。もちろん、弱点があるとかこういう弱みがある!とかは言いますけど、卑下はしません。考え過ぎなのかもしれないんですけど。
 けなしたり、卑下したりするのは人に見せる前にやりきってしまいたいです。

<変化>
(イ)同玉は、56銀打、同と、同銀、64玉、42角、53合、65銀打まで。
(ロ)同玉は、75角、55玉、58飛以下
(ロ)64玉は、42角、53金、65銀、63玉、72銀、62玉、63香、同金、同銀成、同玉、73金まで2手早い。
(ロ)45玉は、73飛成、56合、37桂、同と、56馬以下。

(ハ)73合は、56銀打、同と、75飛、64玉、73飛成以下。
(ニ)他合は57桂以下早い。
(ニ)64玉は71角成、55玉、56銀以下。
(ホ)55玉は、33龍、64合、65金まで同手数駒余り。

<紛れなど>
(A)66金は45玉で
・73飛成は44玉で
  62角は53香合
  53銀は43玉、34馬、同玉
・72飛成がかなり怪しい(53銀に43玉と逃げられない)
 単純に44玉と逃げると44玉、53銀、同玉、71角、43玉、52龍、同玉、34馬、41玉、21飛以下詰むので別の応手の必要あり。
 いずれの応手も微妙であるが、一例として56桂合を考えてみる。
 同金、44玉、88馬、66歩合、53銀、同玉でどうだろうか。

(A)58飛、64玉で
 柿木は75金を読むがこれは同玉で詰まないのでは
 64飛は同龍で
 かといって75角では73玉、
 75銀では53玉(73でも大丈夫だとは思うが)。54飛でも54銀でも42玉が安全か

(A)88馬、66歩、同金、同香にて
・56歩は46玉、75飛、55桂合。
・56銀打は同と、同銀(※66馬は、同と、82角、64歩)、44玉、66馬、43玉、73飛成、53香、47香、44歩、
・同馬は同玉、69香、67歩で
  84角は75歩、同角、55玉、
  93角は55玉、56銀打、同と、同銀、44玉。

(B)82角は、45玉、73飛成、56銀合(限定)、57桂(37桂も同様)、55玉、44銀、同玉、56桂、同と、45銀、同龍、33龍、同玉、45桂、34玉、33飛、25玉、23飛成、24歩(おそらく非限定だが安全策で歩合)、26銀、同玉、24龍、25桂(限定)、27歩、36玉、37金、同桂成、26龍、47玉、37角成、58玉、56龍、57金(ここも安全策で)で詰まない。
(B)73角は45玉で
・76飛は、44玉、46飛、53玉。
・57桂は、44玉、62角成、53香、

(C)73角は45玉、75飛、44玉、62角成、53香、36桂、同歩(同とは詰む)、34馬、同金。

(D)57桂について
 55玉でも逃れているように思うが33飛成が微妙。
 44玉と逃げれば(B)とほぼ同様の逃れ順に合流するので、そちらを採る。