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2018/05/26

マイフェイバリットフェアリー10(Ⅵ)

 『マイ・フェイバリット・フェアリー10』、今回は推理将棋です。
 先に断っておきますと、私は推理将棋めちゃくちゃ詳しいわけではないです汗、今後のがんばり次第ですね。

 推理将棋は会話形式で出題され、その提示された条件を満たすような手順を求めるものです。手順前後はもちろん、成生非限定も許されませんので、そこも条件設定されています。無駄合の概念もありません。王手義務の無いばか詰とも呼べますかね。
 もちろん詰ませることが目標ではない作品もありますし、自由度の高さも魅力の1つです。

詰将棋おもちゃ箱 推理将棋 第113回
113-3 上級 上谷直希 作  全部馬!         13手


「13手目に馬の手で詰みか」
「途中、成駒を含む4枚の駒を取ったのも先手の馬だったよね」
(条件)
成駒を含む4枚の駒を先手の馬が取った後、13手目の馬の手で詰んだ


作意順:76歩、34歩、22角成、42玉、13馬、33玉、31馬、17香成、53馬、22玉、17馬、11玉、44馬まで13手

結果稿リンク

 私の推理将棋のつくり方は単純明快。ゴリ押しです。
 良さげな手順をまず考えて、それに合致するような条件をひたすら考える…というもの。詰将棋以上に色々なつくり方がありそうですから、このつくり方がみんなにとって正しいわけではありません。

 本作ももちろん手順から考えました。しかし条件にあうように手順を微調整した作品であります。
 44馬までの両王手までの手順をまず考えてみますと、先後で必要な手数がうまくあわないことにお気づきいただけると思います。なんとか11手で表現できないかと思っても絶対にできません。
 推理将棋で11手と13手では余詰対策のキツさがかなり違います。もし13手で1作こしらえようと思ったら、ガッチガチの条件で固めないと…。
 そんなときに思いついたのが発表時の条件。暗に「先手に駒打ちは無い」という条件も包含しているため、明快な条件ながら手順を制限する効果は強いです。

 手順や短評の詳細は上記リンク先をご覧いただければ幸いです。
 紛れがかなり良いところまで行くのも評価上プラスに働いたようです。幸運。

 おかげさまでFairyTopⅨ2017推理将棋部門で1位をいただきました。
ありがとうございました。
 フェアリー詰将棋部門では青木さんが圧巻でした。
 うーん最近はフェアリーに関して全然触れられていないし、投票もできてないし、なんだか申し訳ないですがなんとか頑張ります。

 私の推理将棋の創作歴はまだまだ浅く、今後も勉強しようと思います。
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2018/04/22

マイフェイバリットフェアリー10(Ⅴ)

『マイ・フェイバリット・フェアリー10』、今回は透明駒です。
 だんだん文章が雑になっていきます笑
ところで、googleで「透明駒」と検索するとここのブログが先頭に出るようになったみたいで、なんだか気恥ずかしいですね笑
 それだけの価値のある記事を書けているのであれば嬉しいのですが…笑

 透明駒ってぶっちゃけ分かりにくい(でもすごく面白い)ので、初めてで透明駒よく分かんね~!という方は、『この詰将棋がすごい!2015』の會場さんの特集であったり、私が書いたもので良ければWFPに会話形式の読み物を投稿したものがあるのでそちらをご確認いただければと思います。

協力自玉ステイルメイト 8手  ※透明駒:受方2枚
(Web Fairy Paradise 2016.9)
2018-04-22a.png

【透明駒】位置・種類が不明の駒。
着手の合法性、攻方王手義務を満たせる可能性があれば、それを満たしているものとして手順を進めることができる。
【ステイルメイト】王手は掛かっていないが合法手のない状態にする。


 44銀、同X、42銀、同X、44銀(42=飛)、同X、64銀、同X まで 8手
 ※左右対称解も正解。左右対称解は非限定のキズとは扱いません。
 ※透明駒の表記法は現在様々なものが使われています。多分伝われば何使ってもいいんじゃないかなあ

WFPの結果稿はこちらから。
 銀を4連続で打ち捨てるのは分かりきっていますので、なぜこの順ではないとダメなのか、他の打ち捨て方ではダメなのかは結果稿のほうをご確認ください。私も一応色々書いておりますが、神無七郎さんの解説や井上順一さんの短評が作者以上に詳しいです。

 ここでは詳細を省いて、創作経緯とか思い入れなどを書こうかなと思います。
 まず創作経緯は単純明快、この記事です。この記事中の創作ネタ、「2枚の透明駒を区別する手段」の例題を創ろうと思ってなんやかんやしていると、思ったより考えどころのある図ができてしまって「こりゃ例題じゃないな」と思って投稿したというわけでした。

 そんなわけで私は同じテーマで2作もWFPに投稿してしまいました汗
 本作のほうが後の図ですから、何らかの点で1作目と差別化しなければ投稿の価値は無いことになります。1作目では玉方の2枚を区別する構想なのにそのうち1枚は収束でお役御免してしまうのが不満点でした(もちろん、1作目にはそれなりの良さもありますけど)。よって次を作るとするならば、玉方2枚の透明駒いずれも活躍させるのは絶対条件。

 まあ、キレイな図になってくれて良かったです。こういう「やることはバレバレで、実際もその予想通りに進むけど、それでも考えどころがあって作品になっている」詰将棋って好みです。
 
 どんな創作でもそうでしょうけど、時間をかければかけるほど良い作品ができるわけではありません。何の苦労も無くサクッとできてしまった作品のほうが良い作品だったということも多々あります。透明駒の自作群の中には、本作の数倍苦労して、数倍頭を使い力を入れた作品もあります。でも詰将棋ってメイン部分の評価だけじゃないし、重厚であれば良いってわけではないんでしょう。難しいですね。優しいような、残酷なような。
 ともあれ、本作みたいのも評価していただけるのは嬉しいです。
2018/04/14

マイフェイバリットフェアリー10(Ⅳ)

 メルアド変更の関係でログインできていませんでしたが、なんとか復旧(汗)

 マイ・フェイバリット・フェアリー10、今日は複合ルールです。

⑤アンチキルケマドラシばか自殺詰 8手
(詰将棋パラダイス/2012.12 第37回 神無一族の氾濫)

2018-04-08a.png

【マドラシ】同種の敵駒が互いの利きに入ると、利きがなくなる。
【アンチキルケ】駒取りを行った場合、駒取りをした駒は最も近い初期位置に戻る。


マドラシ関連の過去記事はこちらから。
アンチキルケのルールはたくぼんさんのアンチキルケ入門が分かりやすいです。

 複合ルールは初めてなので、ちょっとそれにからめて。

 この特集の序文に「作者は好きなルールでつくりゃ良い」みたいなことを書きましたが、解答者目線で考えりゃそれはまた別な話になると思います。
 同じぐらいの難易度ならばよく見知ったルールのほうが安心できるに決まっていますし、よく分からないルールであれば、ルールを理解する前に投げてしまってもおかしくないですよね。私もフェアリストを名乗っておきながらも理解しているルールのほうが少ないぐらいなんじゃないかと最近思っており、正直ついていけてない領域ばかりになってきてしまいました。それだけ多様化してきたということでしょうか。
 「フェアリーやってます」なんて「詰将棋やってます」ぐらいの意味しか無くて、結局みんなやってることはバラバラなので、当然の現象なのかもしれませんが。

 まあそれでも作者はつくりたいルールで好きなようにつくるのが一番という意見は変わらなくて、でもそうして解答者が0だったときはやっぱり寂しくて……、でも自分が解答者の立場だったら、そりゃそうだろうなと思ったりして……。
 結局作者にできることはそのルールを使うだけの説得力を作品に与えることなんじゃないかなあと思います。
 複合ルールの場合、解答者への負担増は尚更で、知ってるルールと知ってるルールの組み合わせでもしんどいはず。本当にその2つのルールを使う必要があるかどうか?本当に複合ルールに見合うだけの手順になっているか?説得力はあるか?そういうことを自分に問いかけてから投稿しないといけないかなあと、少なくとも自作に関しては考えています。
(その結果、複合ルールの発表数は減りました。まだ自分の脳では処理しきれていないような気がしています)

図面再掲
2018-04-08a.png

 99飛、19飛、59角、97角、48角、75角成、39角、同馬/22馬 まで 8手

 氾濫の結果 http://k7ro.sakura.ne.jp/overflow/hr37_r.pdf

 ※マドラシルールでは角と馬は別の駒種として扱う。他の成駒も同様。
 
 双方が角のラインを開いたり閉じたり。
 角の打ち場所の候補は攻方角(79,59)、受方角(97,95)で合計4通りの組み合わせがあります。しかしもちろん打ち場所は限定されていて、例えば3手目79角としてしまうと同種の駒がぶつかりマドラシルールにより角は動けなくなってしまいます。
 双方の角が動き続けてしかも角同士がぶつからないように……、という1つの条件によりそれぞれの角の打ち場所、角成のタイミングがすべて限定されているのが作者のこだわりでした。

 詰め上がりについて。
 22馬に対しては同玉/59玉では飛筋が遮断され99飛の利きが復活してしまうし、同桂/89桂でも99飛の利きが復活するのは同じですね。ここで飛が縦横に活用されているのもちょっとしたポイントでしょうか。

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 個人的には受賞級の作品をつくるなら自玉系がつくりやすいんじゃないかと思っていると同時に、自分としてはかなり苦手としているルールです。
 派手なことをそれほど苦労せず手順に組み込める反面、緩む手が目立ちやすいのです。
 
 双裸玉の協力自玉詰ならば合駒を発生させないと絶対に詰みませんし、合駒を発生させたあとほぼ確実にその駒のピンを解除しなければなりません。つなぎの手がほとんどの作品に必要になるのはこれが主因です。一方主眼は主眼でド派手にいかなきゃ自玉にするほどの説得力が無いわけで、「つなぎの手」が非常に悪目立ちする傾向が生まれます。これが嫌なのです。自玉詰という枠を使ったからには、主眼部分は派手な手順を演出してナンボ。しかしそこを頑張れば頑張るほど、つなぎのしょうもなさとのギャップは目立つばかり。このジレンマが苦痛。
 自作の自玉系の作品は協力+自玉の2つに加えさらにルールを付加されていることが多く、それらのルールは様々ですが、多くが「発生した玉方駒をすぐ動かす手段が存在する(つなぎの手が要らない)」という点で共通しています。
 自分がつくるときは、つなぎをいかに自然にするかにこだわっている…、というより、つなぎがうまくいかないなら諦めているということになります笑
 
 本作は8手と自玉系の作品ではかなり短い手数だと思いますが、それはつなぎの手を削り、スピーディーな手順を追求した結果なのかもしれませんね。
2018/03/22

マイフェイバリットフェアリー10(Ⅲ)

マイ・フェイバリット・フェアリー10。今日はマドラシです。

【マドラシ】同種の敵駒が互いの利きに入ると、利きがなくなる。

 マドラシについてはこのブログでも取り上げたことがあります。マドラシなんて初めてで良く分からない…という方はそちらの記事を先に読むといいかもしれません。

 本題に入る前に下の図をご覧ください。

(例)マドラシばか詰 3手詰?
2018-03-21c.png

 初手に12飛とやってみたとします。それに対しての32飛!という手はマドラシならではの受け方。飛と飛の利きがぶつかり、お互いの利きが消滅したことになります。
 そして3手目、22金!とその飛対を真っ二つに割ってみます。

2018-03-21b.png

 飛の利きが復活し、飛と金による両王手がかかっています。
 玉で飛も金も取れないので詰みのようですが、飛の利きが復活したのは玉方の飛も同じ。22同飛という手が残っており上の図はまだ詰んでいません。

 上の図でも分かる通り、マドラシの詰将棋の最終手がマドラシ対を遮断する手にはならないのですが、これはマドラシ対が1つであればの話。2つ同時に遮断するならばどうでしょうか?

2018-03-21 (2)

 図は23桂まで。
 竜対、馬対を同時に遮断し、さらに自身でも王手する三重王手です。
 同龍あるいは同馬で3つのうち2つの王手までは解除できますが、残りの1つが解除できません。よって適切な応手は尽きており詰み。

 最終手がマドラシ対の遮断を選ぶとするならば、それは多くの場合両王手になるわけです。両王手ならば華がありますし、創作にも良いですよね。
 ……良いんですけど、この両王手の筋はもう作例が多く、それだけでは新作と呼べにくいのが現状なのです。
 
 さて私はどうしたかというと、こんなものをつくりました。

④マドラシばか詰 9手(詰パラ 2017.4)
2018-03-21a.png

 19飛、69飛生、59歩、18角、同飛、68飛生、25角、69角、58歩 まで9手

 遠隔操作のような手順。 
 最終手を玉から遠い場所にしたのも工夫と言えば工夫でしょうか。しかしこの工夫?にも前例があります。 
 最終手を玉から遠い位置にすると、詰み判定にはその駒の利きは関係ないことになります。最終手がその駒である必然性を如何にして獲得するか?が創作の動機でした。
 
 最終手は歩。玉から遠かろうが、歩を打って詰ませる手は打歩詰の反則。よって先打突歩詰の手順が必要になってくるのです。一見省けそうな2,3手目を省けないのはそれが理由でした。

 例に漏れずスケールが小さいようにも見える差別化の手法ですが、仕上がりには満足しています。

 配置のMVPは35銀。角を離して打って更に合駒を稼ぐ余詰筋が成立してしまうと、作品が破綻します。9手協力詰を支えきれたのはこの銀のおかげ。
 逆に疑問が生じそうなのは玉方飛配置。これは2手目の地点非限定(持駒なら6~9筋どこでも良い)に備えたものではあります。それだけで配置するのは屈辱なので、6段目に配置することで17歩~46飛の余詰筋にも対応させました。盤面にいる意味を与えられたので一応納得できます。

2018/03/18

マイフェイバリットフェアリー10(Ⅱ)

マイ・フェイバリット・フェアリー10。記事一覧は関連タグをご参照ください。
 今日は禁欲です。

【禁欲】駒を取らない王手を優先する。

 王手候補手の中で駒を取らない手が1つでもあれば、そちらを優先しなければなりません。逆に言えば駒を取る王手候補手が1つも無ければ駒を取っても良いことになります。一切の駒取りを許さない取禁ルールとの大きな相違点です。

(例題)自作 詰将棋パラダイス/2016.2

2018-03-18a.png

75香、66金、同角、65玉、55金 まで5手

普通詰将棋では76香、77金、同角、65玉、55金と進むことが多い定番のバッテリーですが、禁欲ルールでは上の手順中の3手目同角が反則。ここでは駒を取らない王手である85飛を優先しなければならないからです。
 作意順では初手75香と2手目66金の2枚で飛の動きを完全にブロック。王手候補手を駒取りだけにすることに成功しました。


②禁欲打歩ばか詰 11手 (Web Fairy Paradise/2014.11)

2018-03-18b.png

【打歩詰】打歩以外で詰ませる手を禁手とする

17金、同飛成、69角、36歩、同龍、26龍、27龍、同龍、25角、同龍、17歩まで

 「駒を取りにくい禁欲ルール」+「駒を取らないといけない状況(持駒に歩が無い打歩条件)」という組み合わせ。相性の悪い条件を組み合わせると、いかにそれを達成するかという思考過程に深みが生まれ、作品になりやすいのではないでしょうか。

 例題でも「駒を取らない王手候補手を削る」感覚を体験していただきましたが、本作では3手目69角と4手目36歩のコンビネーションがそれに当たります。こういう遠移動もあるんですよね。
 もちろん主眼手は69角のつもりです。しかしこういった「自駒の自由度を下げるための角最遠移動(最遠打)」は本作以前にも作例があります(禁欲でも、禁欲以外のルールでもです)。それだけでは新作になれないのが現状。ですので本作では前後の構成に気を配りました。
 まず初手17金は逆算で入れました。この手を入れることで初形が「打歩条件がなければ1手詰」の局面になりますね。こういう形式を取るのは個人的な好みに過ぎないのかもしれませんが、打歩ルールをつけることにより一層の説得力が生まれるのではないでしょうか。
 2手目同飛もちょっとしたアクセント。協力系での受方応手では不成のほうが得しやすいことは以前の記事でも書きました。

 あとは収束。ここにも禁欲らしさが感じられるんじゃないかなあと思います。
 普通詰将棋っぽいですかね。


③禁欲詰 21手 Web Fairy Paradise/2015.10
 
2016-01-08a.jpg


※ばか詰ではありません!

 禁欲ルールが両者に課せられた以外は普通の詰将棋。相手は抵抗してきますし、変化紛れもある。最も生き延びることのできる応手を選んできます。
 
 本作については既にブログで取り上げているので、手順詳細、動く盤は「禁欲」タグからご確認ください。

 禁欲では受方が相手に駒を渡すことが延命につながるよなぁ~という発想が発端。自分では勝手に譲渡手筋なんて言っていますけども、もっと良い名称もありそうですよね。

 禁欲のかしこは作例が少ないだけでなく、創作当時は機械検討ができない状況でした。どういう筋があるのか分からないまま、自力検討で頑張った当初の図は残念ながら余詰。禁欲のかしこは非常に余詰が発生しやすいことは後に知りました(なんでなのか考えてみてください)。
 その図は修正可能であったものの、余詰防ぎの配置がどうしても許せず、構図を全面的に見直しました。
 
 序をつけて配置の意味にも手順にも味付けを施す作り方、主眼部分から最速の収束、その収束で22飛と23飛の長短の対比を盛り込む構成など、つくり方は普通詰将棋をつくっているときと全く変わりません。意味付けは全く異なるものですが、やりたいことの表現法は同じ思考回路を動員しています。だってフェアリー「詰将棋」ですから。

 自作フェアリーは「普通詰将棋っぽい」と、自作普通詰将棋は「フェアリーっぽい」とよく言われます。個人的にはそう言われると悪い気はしないんですけど、そういう精神性なんでしょうね。