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2018/09/16

AndernachIsardam入門

 Isardam入門からの続きです。
 Andernachのほうは、占魚亭氏によるルール解説がすでにありますのでそちらの紹介に留めます。
Andernach(アンダーナッハ)について(詰将棋おもちゃ箱HP)

 "AndernachIsardam入門"と書きながら、「これ入門できるルールなのかな…」という疑念が無いと言っては嘘になりますがそれは押し殺して書き続けます。
 書くのが自分でいいのかな?(自分はきちんと分かっているのか?)という疑念も押し殺して書きます笑


 基本的にこのルールはAndernachとIsardamの足し算ということで、2種の規制が同居していると考えて大きな支障はありません。ただ一箇所だけ、概念がかなり変化する部分がありますので、そこだけ押さえていただければと思います。

(ルール再掲)
【Andernach】駒取りを行った駒(玉を除く)は、その場で相手の駒となる。
【Isardam】同種の敵駒の利きに入る手を禁止する。 


Isardam入門の記事でも出てきた図を再掲します。
2018-09-02c.png

 先手が55金と打って、後手が51飛と受けた局面。Isardamルール下では合法手です。Andernachが足し算されたからといって大きな違いは生じません。

次が大切です。
2018-09-16e.png

 先手が55金と打って、後手が35金と受けた局面。Isardamルール単独では合法的な受けですが、AndernachIsardamでは受けになっていません。
 なぜか。

 このまま先手が45金と金を取ったとすると、Isardam単独では先後の金どうしの利きがぶつかり、非合法局面となります。
 しかし、AndernachIsardamでは駒取りをした瞬間45の金は後手側の駒となります。後手側の金が2枚隣接していたところで、非合法な局面ではありません。

 よって、AndernachIsardamで真に非合法なのは、次の局面となるわけです。
2018-09-16a.png
(※59の飛車は関係無いんで気にしないでください)

 IsardamとAndernachIsardam。ここが唯一にして最大の違いです。ご理解いただけたでしょうか。

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 いろいろ理屈だったりはあるようですが、要するに、「金一枚の利きならば王手だけど、金2枚が利いている場合は王手ではない」という独自なルールに生まれ変わったとも解釈可能ですよね。

 例えばこんなことも可能です。

AndernachIsardamばか詰 7手
2018-09-16b.png

38金上!、28玉!、17金!、29玉、28金、19玉、18金引 まで 7手

ルール独特の応酬が続きますね。(同一図がありましたらごめんなさい)

 この感覚が意外とクセになるのです。面白いです。
 ここで言う「面白い」とは、”発展性がありそう”、”いいものが作りやすそう”という意味の「面白い」でもあります。

 手の自由度が上がることも魅力的です。
 例えばこんなことも可能であることはすぐピンとくるはず。

AndernachIsardamばか詰 5手
2018-09-16c.png

19香 18飛 17香 88飛生 25飛成 まで 5手
 例題としてザッとでっち上げました。わざとらしく、派手にしてみましたけども…
 
 念の為いいますと、最終手17玉はその瞬間に玉に利きがぶつかる香の利きが1枚になるので、利きが復活します(この言い方が正しいかは微妙かも)。

 ここから敷衍して考えると、「(例えば持駒を角角にして、玉位置を調整すれば)受けの手によって、ほぼ任意の地点に駒を配置することが可能」ということになりますね。
 つまり、これからもっとこのルールが発掘されるならば、自玉系の作品でえげつない手順の作品が登場しそうという推測も可能でしょう。
 
 ちょっと自由度が高すぎて、私の手では制御しきれていない部分もありますが笑




折角なので発表作も1つ置いておきます。
 解答はそのうちコメント欄に書きます。該当の詰パラバックナンバーもご参照ください。

Andernach Isardamばか詰 7手(詰パラ 2016/11)
2018-09-16g.png
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2018/09/03

Isardam入門

『マイ・フェイバリット・フェアリー10』ですが、残り3作のところで止まっています…。

 なんで止まっているかというと、次が"AndernachIsardam"という、え、何?それ?というルールだからです。
 このまま書いても良いんですけど、分かんない方が多いと寂しいので最初にルールの解説的なことをやります。

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 "AndernachIsardam"は単一のルールではなく、AndernachとIsardamという2つのルールの複合です。

 なんでこの2つのルールがよく掛け合わされるようになったか?
 歴史的な事情には詳しくありませんが、相性がいいということは作ってみて実感しております。
 つくり続けられている理由というのは、なんとなく分かるということになりますでしょうか。 

【Andernach】駒取りを行った駒(玉を除く)は、その場で相手の駒となる。
【Isardam】同種の敵駒の利きに入る手を禁止する。


 …文章を読んでもよく分からないですね。
 こういう新ルールは実際の作例を見るのが一番手っ取り早い!というのがいつもの持論です。
バンバン紹介していきたいと思います。

 それぞれのルールが分からないと、複合ルールなんて分かりっこないなので、まずは個々のルールについて個別に説明しますが、Andernachは占魚亭氏によるルール解説がすでにありますのでそちらの紹介に留めます。

Andernach(アンダーナッハ)について(詰将棋おもちゃ箱HP)

記事内では拙作も紹介いただきました。ありがとうございました。

 ではこちらではIsardamについて。
 繰り返しになりますが、いきなり複合ルールの理解なんて無理なんで、1つ1つ解決していきましょう。

ルール再掲。

【Isardam】同種の敵駒の利きに入る手を禁止する。
 (ひとまず細則は省略します)
IsardamにはタイプAとBがあり、その区別となるとややこしくなるのでここでは省きます。
おそらくタイプAの作例のほうが圧倒的に多いと思いますので、ひとまずはその路線で話します。

詳細を知りたい方はタイプBの作品を見るのが早いと思いますので、そちらも後々にチェックしてみてください。


 Isardamをマドラシ(Madrasi)を反対から読んだもの。
 ルール自体も反転のようなものになっています(厳密に反対ではないんじゃない?と個人的には思っています)
【マドラシ(Madrasi)】同種の敵駒が互いの利きに入ると、利きがなくなる。

 マドラシについては昔、このブログで取り上げたことがありましたね。
記事一覧へ

 反転というぐらいですから、このルールも同種の駒の利きの衝突が重要なファクターということになります。

 マドラシをご存知な方は、2つのルールを対比されることでよりルールの理解が深まると思いますので、比較しながら例図を見ていきましょうか。

2018-09-02e.png

飛車対が向かい合っている状況。
マドラシではこの状態は「お互いの飛の利きがぶつかることで石化して、両者が動けない状態」と解釈します。
一方、Isardamではこの局面が生じること自体が反則。あってはいけないことになります。

まずはまだ理解しやすいマドラシのほうで話を進めてみます。
マドラシばか詰?

fer.png

 ▲59飛、△51飛という応酬があってもいいでしょう。合法的な受けですよね。
 続けて▲55金などとすれば、両者の飛の利きは復活しますね。

2018-09-02a.png

 よってこの55金は、間接的ながらもれっきとした王手であると理解できます。

では次はIsardamのほうで考えてみましょう。
Isardamばか詰?

2018-09-02b.png

 ここで55金とします。もちろん王手ですね。
 この局面では51飛!という受けが成立します。

2018-09-02c.png

 45金で王様が取れそうですが、そうすると飛の利きがお互いにぶつかってしまう(反則)。
 45金は反則局面を生じさせる禁手と解釈。45金と動かせないならば王手はかかっていない…と理解するのですね。

 同様の理解で、△51飛に代えて例えば△35金も合法的な受けですね。
2018-09-02d.png
 しかし、例えば△44金は利きがぶつかってしまっているので禁手です。

 感じが分かってきたでしょうか。では実際の作例を見てみましょうか。

たくぼん氏 (WFP 2009.8)
Isardam(タイプA)協力詰 11手


2018-09-02f.png

 ここまで読んでくださった方ならば、もうこの初形で「最初から王手がかかっているんですけど!?」と驚くことは無いはず。もちろん初手28角は禁手です。
 今回はシンキングタイムをすっ飛ばして、早速ですが解答を記します。

 38金 17金 37金 39玉 28角 38玉 17角 48玉 39角 57角生 49金 まで 11手

 初手の38金には受けはあるものの(2手目17金がそれにあたります)、最終手49金には受けはありません。なぜならば、後手が合法的に金を打って受ける空間が無いからです。この対比的な展開が面白いですよね。
 ルール特有の着手による駒繰りで玉を移動させる一連の手順が好印象です。
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