2016/01/29

フェアリー入門:透明駒(2)


【透明駒】位置・種類が不明の駒。
着手の合法性、攻方王手義務を満たせる可能性があれば、それを満たしているものとして手順を進めることができる。
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/wfpr2015.pdfより

詰将棋 5手(1+1) 〔2015/9 WFP フェアリー入門〕

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 紛れがないので投稿してしまいましたが、変化がひたすらややこしいので難しかったかもしれません。ただ狙い自体は明快です。

 ばか詰ではないので相手は抵抗してきます。


 初手は-Xしかありません。(-Xの表記では駒取りはありえないので)1筋からの王手であることは分かります。しかし分かるのはそれだけで、どこから、何で王手しているのかは皆目見当がつきません。そしてこのことは攻方、受方双方に言えることです。攻方の手を規定できるのは攻方だけではないのです。後手も抵抗するわけですから、透明駒をいかにコントロールするかが双方にとって争点となるわけですね。

本作は2手目の応手がすべてです。順に考えていきましょう。

○-X
 2通りに大別できます。
(1)初手で王手した透明駒を透明駒で取った
(2)透明駒の王手に対し透明駒で合駒した


 (1)ならそりゃあもう金輪際詰みません。こちらと決まってくれれば受方としても嬉しいわけです。
 しかし、さらに3手目-Xとされてしまうと(1)の可能性が消えてしまいます(取られた駒で王手できるわけがない→王手できるということは取られていない)。
 よって1~2手目の手順が(2)で確定してしまいます。その上、3手目に受方透明駒も取られていることまで確定しまい途端に受けなし。最悪です。

 3手目の-Xの返し技で早詰となりました。

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「-X」がだめなら適切な応手はもはや合駒しかありません。そして合駒した瞬間、初手は1筋の香か飛か龍によるものだったとわかります。

○12合 
 +12と返してしまうとマズイ。透明駒で取り返されてしまいます。

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 こんな局面だったのだと受方に主張されるわけです。
 ですので12合に対しては同桂成としましょう。12に利きの届く透明駒の存在はありえないのでこれで詰みです(2筋のやたら大仰な壁が作意成立に必須な理由の1つにこの変化があります。すぐかしこは詰まなくなってしまうので…)

○中合
 例えば13歩とでもしましょうか。取っても良さそうですが、もっと効果的に相手を追い詰める王手があります。

  この瞬間での-X!是非覚えていただきたい手順です。

  「え、でも初手に王手した透明駒は13より下にいるはずで、その駒が王手しようと思ったら+13しかないんじゃないの?」
  確かにその通り。だからこそ、-Xの着手は初手の透明駒によるものではありません。
  しかし、攻方には当初1枚しか透明駒はなかったはず。一体どこにもう1枚の透明駒があるのか?
 

  そう、「初手に相手の透明駒を取って、それを使った」と主張しているのです。

2016-01-29a.jpg
 1筋の2枚の香が双方の透明駒だったとして、こんな初形が想像できます。

 相手の透明駒を無効化して、こちらの戦力は増える。説明不要の強力さです。

  『-X、13歩、-X』とした局面は、実はもう詰んでいるのです。うーん、強い。
 2手目金合と頑張ってみても、『-X,13金合,-X,12金,+12』で同手数駒余り。これはどの地点の中合でも言えることです(例:『-X,14金合,-X,13金,+13』)。相手の透明駒を奪ってしまっているので、受けようがありません。

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 すべての応手が尽きてしまったように思われます。
 それもこれも、相手の透明駒を取って、それを使う手筋があまりに強力すぎて、透明駒を奪われてしまうことが確定してしまうのが悪いのです。なんとかこの手筋を回避する方法はないでしょうか?

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 駒を取られないためにはどうしたらいいのか?
 ものすごい初心的なところに戻ることができるのが透明駒の面白さでもあります。普段、我々はどうやって駒を取っているのか?当たり前すぎてスルーしがちですが、駒取りのためには、駒を取る主体が盤に必要なのです。つまり、初手を持駒由来だと主張してしまえば、駒取りの可能性が消え、前述の手筋を使えなくすることが可能になります。 

 
 2手目の応手、正解は18飛!です。

 
 これによって初手は19からの王手だったことを確定させてしまいます。
 19にあった透明駒を9段目の透明駒(飛または龍)で取った可能性は、飛車を品切れにすることで消してしまいました。
 だから初手は19香で確定です(透明性は消失します)。盤の香を動かして「19香」という着手をするのは不可能ですから、この香は持駒由来ということになり、初手の駒取りの可能性も潰えます。

 よって3手目に-Xとすることがやっとのことで不可能になったわけですね。
 18飛合に対しては同香しかありません。

 正解順は-X , 18飛 , 同香 , +18 , 12飛 まで5手詰 となります。

 飛車を品切れとすることで延命した玉方ですが、皮肉にも4手目の透明駒が飛車ではないことも同時に示されてしまいました。よって最終手を透明駒で取り返すことはできず詰みとなっています。

  結果稿 → http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/WFP90.pdf

 もっと入門チックな問題を出すべきだったのかもしれませんが、そのルールを面白いと思ってもらえないと、いくらルールを理解したところで始める意欲は出てこないでしょう。易しさと内容を兼ね備えた作品が1つの目標ですかね。

 透明駒の創作は、自分を試されているような気がします。ポテンシャルが青天井なルールを前に、自分はどこまで盤面を把握できているのか?自分の力が内容に直結するルールです。まだまだ力不足(まあ全部のルールで言えることですけど)。
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2016/01/25

フェアリー入門:透明駒

透明駒のルールについては(私の駄文でいいならば)WFP今月号をご参照ください。

【透明駒】位置・種類が不明の駒。
着手の合法性、攻方王手義務を満たせる可能性があれば、それを満たしているものとして手順を進めることができる。

http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/wfpr2015.pdfより

ばか詰 5手 (2+1) 〔2015/9 WFP フェアリー入門〕

71q.png


※透明駒は攻方に2枚、受方に1枚あります。
 透明駒余りは現行のルールでは問題ありません。
 受方透明駒は「残り全部」で見えていないということにしてください。



 桂の利きによる王手ができないので、初手は透明駒の力を借りた王手しかありません。
 では初手は-Xでしょうか?確かに有力な手段です。
 例えば-X,23金,+23,14玉,24金とか?詰んでいるように見えますが、これには+24と対応されてしまいます。攻方の透明駒をうまく利用することはもちろんのこと、同時に玉方の透明駒を如何に無効化するのかが鍵となりそうです。

 -Xに対する応手は色々ありますが、どれもこれも受方の透明駒がはっきりせずうまくいきません。と言っても王手はこれ以外にない…?いや、あります。

 正解は35桂!これも王手になっているのです。

 要するに、2筋に香か飛(龍)の透明駒がいて、初手は開き王手だったと主張するわけです!初めての方はびっくりする筋かもしれません。
 それに対しては15玉と逃げて、続けざまに23桂成!今度は5段目の飛を主張してみましょう。

 全体の手順としては 35桂、15玉、23桂成、14玉、24成桂 まで5手詰 となります。

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 2筋に縦の利き、5段目に横の利きが存在していることはこれまでの手順で示しています。このスッカスカに見える詰め上がり図でも一応15は埋まっていて、24の成桂にヒモはついているので案外包囲網はしっかりしています。

 ただ、ちょっと待ってください。

 攻方の2枚の透明駒を明らかにしたのは分かりました。でもこれでは、受方の透明駒の所在は分からずじまいではありませんか。24の成桂を+24とする受けは残っていないのですか?

 この疑問こそが作者の主張。実は23桂成の瞬間、受方の透明駒はすでに盤面にはないことが示されてしまっているのです!

 これまでの手順で判明した透明駒を適当に配置して初形を推理してみましょう。
 
2016-01-25b.jpg

(あくまで一例です)


 2筋の香は別におかしくはありません。しかし5段目の飛(龍)、これはとてもおかしい。王手放置の違法局面になってしまうではありませんか。いくら透明駒が変なルールだったとしても、出てくる局面は合法局面のはずです。なにか辻褄合わせをせねばなりません。そこで活躍するのが受方の透明駒というわけです。

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 受方の透明駒(一例として歩)を35に配置してみました。なるほど、こうすれば作意順は実現可能です。

 「え、受方の透明駒は35~85のどこでもいい(だから35とは限らない)んじゃないの?」と一瞬考えてしまいますが、初形が王手放置の違法局面ではない上で3手目が王手となるためには受方の透明駒は35地点ですっぱ抜かれるしかありません。よって受方の透明駒が取られたことは確定です。

 受方の透明駒もなく、その上で玉の退路もないのですから、正真正銘詰みだと言える……と、そういう理屈だったわけですね。
 
 慣れた方なら一目の手順でしょうが、手順に統一感があるのでまあ及第点ではないかなと思います。

 本作の検討に関わってくださった皆様、ありがとうございました。
2016/01/22

Web Fairy Paradise 91号


 WFP91号 → http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/WFP91.pdf 

多忙のため縮小版です。
新作がつくりたい。
アイデアが欲しい。

○WFP作品展
 新たに久保紀貴さんが登場。
 競技人口が洒落にならないほど少ない界隈ですので、新規参入者の存在は本当に貴重です。

○強欲な世界
 煙詰ってこんなに量産できるものなんですか!?

○100号への企画
 WFPも今年で100号を迎えるのですね。発行を支える皆様の、不断の努力があってこその偉大な数字です。

 1人1作作品展には是非とも参加したいところ。ただ記念すべき場所に見合うような新作をこしらえることができるかどうか…?

○透明駒の読み物
 お正月に書き散らしていた原稿です。
 私も透明駒の理解には相当手こずったものですから、「自分はどこで躓いたっけなあ」などと思い出しながら書いてみました。わかりやすさにこだわったつもり!?
 どうか身構えずに気軽な気持ちで読んでいただければと思います。
 
 誤字脱字はお許し下さい。
 あと作品を勝手に紹介してしまってごめんなさい!

 何か致命的な欠陥などありましたら、tsumecontact○gmail.com(○を@に変換)までご連絡してもらえると助かります。

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今年もよろしくお願いします。
2016/01/18

5手ばか詰の手筋(1)

第一回:攻方の成/不成

 これまでは5手ばか詰の詰め上がりをテーマに据えて考えてきたわけですが、ここからは手順の内容にも踏み込んでいきましょう。まずは簡単な例題から。

ばか詰 3手
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 53歩成、51玉、52銀 まで3手詰

 簡単ですね。

 ……。

 (ばか詰だけに)馬鹿にしているわけではありませんよ。まあ聞いてください。
 初手は誰だって成るでしょう。では、なぜ?

「えっ、だって打歩詰を除けば自分の攻駒は強ければ強いほどいいでしょ」

 確かにその通り。多くの方が共有している感覚でしょう。
  
 では、これは?

ばか詰 5手 


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 23桂では飛を取られるので、初手は飛を動かすしかなさそうです。では、ここでも成ってしまったほうが得でしょうか?…違いますね。同玉以外の応手が無くなってしまうので。

 相手が協力してくれるばか詰では「逃げさせたいところに誘導する」ことが可能ですから、その順路を邪魔しないような意味付けでの不成が可能です。ここが伝統詰将棋との違い。

 要するに成/不成の双方が他方にないメリットを持っており、不成が純粋に不利な着手とは呼べなくなるわけですね。
 すべての機会で成も不成もそれなりに有力となり、紛れがより上質になってくれるとも言えます。

 ↑の例題の答えは 12飛生、21玉、32飛成、11玉、23桂 までの5手
 
 一応成生の対比のつもりです。


 より一層成生の対比を際立たせてみたのがこちら。

(未発表)ばか詰 5手

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 なんてことない単純さなのでしょうが、ちょっとお気に入りです。桂配置がピッタリ。
 

 ばか詰ならではの不成か?はたまた裏の裏の成か?この選択肢も考慮に入れつつ解図や創作に取り組んでいくと、より一層ばか詰の世界が広がっていくでしょう。
 さて今回は印象的な作品を一つ紹介して締めさせていただきたいと思います。

神無三郎氏作 (詰パラ 1993.12)  
ばか詰 5手


2016-01-18c.jpg


 正直なところ、5手ばか詰で心から好きになる作品にはなかなか出会えないのですけども、本作は引き締まった手順で素晴らしいと思います。いかがでしょうか。

 例によって解答は後日コメント欄に掲載いたします。
 ばか詰に関しての記事も増えてきました。ここらで自力で解いてみるのもいいかもしれませんね。

 棋力は関係なし!是非チャレンジしてみてください。
2016/01/13

短コンの解答

 いつぞや「短コン全作解いた」やらなんやら言いましたが、年末年始ゴタゴタして解答送るの無理でした。なにやってんだか。
 せっかくなんで、好きだった作品の短評を書いてみました。

6  うまい。上位で間違いないと思う。
19 意味付けに統一感があるのもいい。
24 硬派で重厚(語弊があるかもしれない)ながら手筋の爽やかさもある。
25 「好きだけど評点は伸びないかも」みたいな短評が並びそう。
   この評点ギャップの埋め方は簡単。好きなら遠慮無くAをつければいいのだ(そう言うなら解答出せよ)。
26 味の良い手が随所に散りばめられ心地いい。好みでいうと一番。
33 5ではなく、6。この遠さを7手の器で規定できたところに価値があると思う。
35 きっちりしている。
43 推敲を重ねていくなかで、配置も、変化紛れも洗練されていった。作者の根性が実った形。
50 似た手順の作品が多く並んだ今回。どっかの誰かも被ってたね(涙)
   そのなかではやっぱり本作が良い出来のように思いました。

 31と32はどうやって評価すればいいのか分からなかったので無評価にするつもりでした。

※あくまでただの一個人の好みに過ぎません。ここに挙げた以外には好作はなかったとか、そういう意図ではないので悪しからず。
2016/01/10

欲を出さないと面白い?(3後)

前半は  http://fairypara.blog.fc2.com/blog-entry-26.html

再掲
2016-01-08a.jpg


(A)14飛、25玉、16銀、同桂 までで途中図1

2016-01-08g.jpg

作意順は単純ですが、(A)の紛れ順に禁欲詰らしさがあったね、ということを確認したのが前回。
以下途中図1での紛れを(B)と表記します。

(B)22飛成がダメだったので、(B)15飛としてみました。

2016-01-08i.jpg

同玉、12飛生!のところまではやりましたね。

13歩合は同飛成とすれば14金という狙いですが、同飛生と歩を取れば大丈夫。
じゃあもう詰み?いやいや、ここで作者の主眼の一手が出てきます(やっとか)。

13金合!

なんでしょうか、これは?
歩合より損しているように見えます。ですがその損こそ、受方の狙い。
同飛生に14金合とされてみると…?

2016-01-08j.jpg

渡された駒が歩ならば同飛成以外の王手がなかったのに、金を渡されたせいで25金を強制されてしまいます。同玉とされた局面はこれまで何度も遭遇した逃れ図。23飛成なら移動合、ナラズなら歩合ぐらい。

敢えて使える駒を渡して、駒を取らせない手筋。以下便宜上「譲渡手筋」と呼んでみます。これが作者の主張だったのです。

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2016-01-08g.jpg

(B)22飛成もダメ(ナラズでもダメです)
(B)15飛も「要らない金」を渡されてダメでした。

ここでの正解は24飛~25飛と飛車を原形消去して途中図2へ向かうのが正解です。(B)22飛成の紛れで14飛が邪魔駒であることは明白で、15飛と単純消去を試みましたが一歩及ばず。そこで残るは急がばまわれの原形消去というわけです。

2016-01-08k.jpg

原形消去したことはどうその後に影響するのでしょうか?

これまでの教訓を活かし22飛「生」といきます。24合だと同飛成ですので23「金」と、例の譲渡手筋での抵抗。同飛生、24金合で変化図。

2016-01-08l.jpg

ここで15金としてしまうと先ほどと同様の手順で逃れてしまいます。
ですので35金とこちらから打って、15玉、25金です。同金なら13飛「生」(ご注意ください)。同玉ならば持駒の原形消去が果たせた形になり、めでたく24飛成と取れるわけです。(B)15飛と違って、持駒をそのまま消せるのが強みなのですね。


ここまでの理屈をまとめると、

14飛の
○単純消去 (B)15飛 → 渡された金の単純消去 → 逃れ
○原形消去      → 渡された金の原形消去 → 詰みへ



 このような対比が垣間見えると思います。

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途中図2からの作意順を絞りこんでいきます。

先ほどの手順では22飛生への対応として金の連続合が現れました。意味合いとしては横利きがメインでしたので、まず真っ先に考えられるバリエーションとして、飛合が混じる可能性があります。他にも厳密に言えば色々変化の余地はありますが、動く盤で確認する程度で大丈夫です。

途中図2からの正解手順は

22飛生、23金、同飛生、24飛 となります。飛合の真意はすぐわかります。

以下これまで通り、35金、15玉、25金、同飛
逆王手がかかっているのでちょっと延命できますね。同飛成しかありません。

同玉と飛車を取った局面はちょうど途中図2の42飛を持駒に回収した形。これはなんとしても表現したかったところです。おかげさまで23飛と、譲渡手筋を拒否する短打が新たに可能になるわけですね。これまで取れずに悩まされていた24合が、ついに無駄合と化しました。

よって作意順全体は、14飛、25玉、16銀、同桂、24飛、15玉、25飛、同玉、22飛不成、23金、同飛不成、24飛、35金、15玉、25金、同飛、同飛成、同玉、23飛、15玉、24飛成、まで21手詰 です。



なぜか変化紛れがうまく動かない(なんとかするのが面倒くさい)ので、代わりに棋譜ファイルも上げときます。
21te.txt

この図は投稿図の別案です(http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/WFP88.pdfで経緯を確認いただければ幸いです)。つまり出題→結果稿の流れを経ていないのです。もし解答募集をされていたならばどのような評価を受けていたのか、想像するしかない状況があります。もし良ければ、是非コメントやメールにて感想等いただければとてもありがたいです。よろしくお願いします。

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忘れていました。第一回の記事の解答です。

2015-12-24b.jpg

この図にて初手34香が限定打になる(35以遠が不詰になる)理由でしたね。
ここにも譲渡手筋が絡んでいたのです。
初手35香には34角!です。同香とすると、単純に34香と打った作意順より角が持駒に追加された形。ここで相手は32飛合と応じます。

2016-01-08d.jpg

作意順では同香成として簡単だったのに、角を渡されてしまっては角を打つよりありません。53角(どこでも同じ)、41玉、31角成、同飛でダメ。


以上、譲渡手筋を主に見てきました。この手筋は作者がひねりだした狙いというよりも、禁欲詰独特の生得的なものであります。
どうでしょう?禁欲、なかなか魅力的なルールだと思いませんか?
2016/01/09

欲を出さないと面白い?(3前)

欲をださないと面白い?(1)   
                (2)


去年つくった中では最も思い入れのある作品の一つかもしれません。最終的な出来はともあれ、苦労した題材です。以下は長くなりますが、もし良かったら是非読んでみてください。

上谷直希  禁欲詰 WFP作品展 72-2b (翻案)

2016-01-08a.jpg


http://k7ro.sakura.ne.jp/wfp/EnjoyWFP.html


象形っぽい初形。どうやっても詰みそうですが…?
まず初手の紛れ(A)を確認していきます。

(A)12飛成。これで簡単に詰むように思えます。
 結論から言いますと13に合駒されても14に合駒されても詰みません。簡単な14のほうで考えていきます。
 14合ならば金合が唯一の逃れ。同龍とできればいいものの禁欲ルールなので取れません。駒を取らないような王手が残っているからです。


16の退路を塞ぐ、駒を取らない王手といいますと17飛か16飛だけですね。16飛は25玉の一手ですが、次の手が15飛ともとに戻す手しかありませんから厳しそうです。17飛が妥当でしょう。

合駒ならいよいよ14龍とできて詰みますので逃げます。25玉、16銀、同桂で逃れ図1。

2016-01-08e.jpg

23龍なら24金で14龍を強制されます。
22龍なら、移動合には対抗できますが単純に歩合ぐらいでダメ。

このように、龍がどのように4段目に飛び込めるかが本作の争点となります。



先ほどの紛れでは、17飛とした手で逃げられて詰みませんでした。
ならば初手から(A)17飛としたらどうでしょう?先ほどと違って、逃げたら14銀で簡単です。

と言っても、単純な打合をしてしまえば12飛成から先ほどの手順に合流して詰みますね。
ここで16桂の移動合が出てきます。これに対しては12飛成ぐらいでしょうか。14に合駒してもらえれば詰むものの、13歩でもう全然詰まなくなってしまいます。

2016-01-08f.jpg

24銀を強制します(同龍とできれば簡単に詰むのに…笑)
24銀、25玉となった形はもう物理的に王手のかけようがありません。この紛れで桂馬の存在感を主張したかったわけです。

ここまでがまず第一の紛れ。


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そんなわけで初手はビタッと14飛が正解となります。成れない位置への限定打ですが、「もったいない」感はありますでしょうか?以下25玉、16銀、同桂で途中図1へ。

2016-01-08g.jpg

ここまでくればもうどうしようもなく詰みそう。いやいや、ここからがしんどいのです。

22飛成といきます。それに対しては24金合(限定合)。よっしゃ同龍…とできません。

15飛が強制ですからね。以下同玉で逃れています。

2016-01-08h.jpg


13龍なら移動合。12龍なら14歩。逃れ図1と同様の理屈です。


ではさきに15飛としたらどうでしょう。同玉の一手。

2016-01-08i.jpg

さすがに12飛成で終わりでしょうか?いいやまだまだ。13歩があります。

同龍、14金とされた局面は24龍を強制されてしまっていて逃れ。龍を引きつけるための中合だったのですね。

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勘の良い方ならお気づきでしょうが、ここでついに攻方の奥の手を披露しましょう。

12飛生!これでは13歩と引きつけようが全くの無駄です。
どうしたものでしょうか。

長くなってきたんで一旦切ります。明日また上げますんで汗
2016/01/05

欲を出さないと面白い?(2)


 今回のテーマは「敢えて攻方の選択肢を増やす」です。
 そして修正図のほうも知ってもらいたいと、そういう魂胆でもあります笑

 禁欲最善詰 19手 (WFP作品展73-2 ※修正図)
2016-01-05a.jpg

〔禁欲〕駒を取らない手を優先する。
※最善詰は、とりあえずここでは19手以内で詰ませる詰将棋と思っていただければ大丈夫です。


 流れを追いやすいように途中図多めでいきます。

 初手は21銀不成しかありません。まず簡単な変化から考えていきます。
 11玉には12銀成です。同玉の一手。

2015-12-23a.jpg

 初形から銀が消えた形になりました。こうなると駒取り以外の選択肢がなくなって一転23桂成が可能になり、その上相手はこの成桂を取れませんので以下簡単に詰みます。
 
 このように攻方は駒取りの一手となるような局面を目指して金を取ろうと目論み、受方はこの金を取られまいと必死に抵抗します。この方針を頭に入れて手順を追っていきましょう。

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 初手21銀不成に22玉はちょっと複雑ですが早く詰みます(フラ盤を参考にしてください)。よって13玉と逃げるのが正着です。これに対しては24の退路を塞ぐため35角とします。

2015-12-23b.jpg

 逃げても13角成、11玉、12馬で簡単ですので合駒です。
 ただしかし単純に24歩合とすると、12銀成から23桂成とやっぱり金を取られてしまう。
 よってここは24金の移動合が正解。取られそうな金を逃がします。

 以下12銀成、同玉。
 23桂成は11玉で少し届きません。よって34角です。

2015-12-23c.jpg

 逃げると早詰(一番下に変化として並べています)。
 単純な合駒は同桂成とやっぱり駒取りが決まります。万事休すのようですが…?

 ここでは23金!の移動合が禁欲を逆手にした背水の陣の一手。
 先ほどと同様、同桂成で簡単なように見えます。しかしここでは新たに13角成という、駒を取らない王手が生まれています。「駒を取らせないため敢えて攻め方の選択肢を増やす」とは、この手を指していたのでした。 

2015-12-24c.jpg

 13角成を強制されたわけですが、これに対して11玉されたら12馬として、今度こそ金を取れるだろうというのが攻め方の考え。それを見越して受方は21玉とよろけて、32歩成とさせてから11玉と決めます。

2015-12-23e.jpg

 攻方の戦力をわざと強くさせました。一見不利なようですが、先ほどの候補手だった12馬に対しては同玉として、▲22とがあるせいで23桂成とできなくなっているのですね。

 以下は収束。

 22と、同金、12角成、同金、23 桂不成、21 玉、31 馬 まで 19 手詰


 下のフラ盤で全体の手順を並べられます。



 21銀不成、13玉、35角、24金、12銀成、同玉、34 角、23金、13角成、21玉、32歩成、11 玉、22と、同金、12角成、同金、23桂不成、21玉、31馬 まで 19 手詰

※各変化はフラ盤参照。

 結果稿はhttp://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/WFP86.pdf の18pから。
 修正前の図が載っていますが、修正の経緯などは第89号のほうを確認していただければ幸いです。
2016/01/02

謹賀新年&詰パラ1月号

あけましておめでとうございます。
今年もブログともどもよろしくお願いします。


ここで年賀詰といきたいところですが…!?


ありません(すいません)


出せるものもないので、早速詰パラの感想に参りましょう。



○詰将棋学校
 小学校に入選。めっさ早くてびっくりしました笑
 短手数ですが結構苦労した素材です。多くの解答、短評お願い致します。


○結果稿
 もしかしたら幼4が一番好きかもしれません。単純な好みの話ですが。
難しいことはよくわからなくて…汗

○読者サロン
 金言。

○フェアリーランド
 新年号は象形特集。ルールも比較的親しみやすいものが並んでいます。


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 調子に乗って将棋世界も断片的にいきます。
最近、kindleで買えるものはそっちで買うことが多くなってきました。紙媒体より安いし、かさばらないのがありがたいですね。ただ、やっぱり紙のほうが手元に残るようで好みではあります。

○懸賞詰将棋
 皆様のご存知の通り、先月号から懸賞詰将棋の出題が若島氏の担当となりました。先月の詰将棋も良かっただけに、今月も期待大です。

○詰将棋サロン
 本ブログでも取り上げたばか詰(長谷繁蔵氏 詰パラ2004年4月号)が紹介されています。フェアリーの露出が増えることは非常に喜ばしいですね。ただ、出典も載せていただきたかったです…。

 結果稿だと④が好きかな。


 以下余談です。
 自分は将棋世界を買う理由は主に2つ。詰将棋とそして将棋駒特集です。学生の身分ですからまだ一組も手にしたことはありませんが、「将来はこんな駒が欲しいなあ…」なんて夢想しながら駒写真を眺めている時間が大好きなんです。書体と駒師あたりのことは一通り頭に入ったんですけど、さあ実際の駒の良し悪しはまだまだフィーリングの段階。
 詳しい方、色々教えて下さい!

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さて2016年。ひとまず着手していきたい記事内容について箇条書きにしてみました。

・5手ばか詰の手筋
・禁欲詰について
・Andernach(書くこと以上につくるアイデアがない)
・透明駒(全然見通したってないです)
・普通詰将棋(自分に何が書けるというのだろう)

などなど、希望的観測盛りだくさんで軌道などない本ブログを今年もよろしくお願いします。