クイーンとは

フェアリー
02 /27 2016

 今日はA級順位戦最終局ですね。将棋はからっきしの観る将の私ですが、どんな結果になるのか楽しみです。挑戦者争い同士の対局もあり、残留争いも熾烈で最後まで目が離せません。

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そして記事内容はどんどん将棋と離れていきます(笑)
最近、本誌のフェアリーランドでもクイーンを見る機会が増えてきましたので、今回はクイーンについて話していきたいと思います。
そんなに詳しいわけではないですけど…。


Q(Queen)
チェスの駒。飛車と角を合わせた性能を持つ。


queen.gif

http://k7ro.sakura.ne.jp/rule.html より

 一般にクイーンを詰ませることを「クイーン王ばか詰」と呼びます。
クイーンなのに王(キング)とはこれ如何にと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、おそらくここでの「王」とはロイヤル駒(王手をかけられる存在)という意味でしょう。

 クイーンを詰ませるばか詰は、もちろん普通のばか詰より難しいです。紛れの数が桁違いですからね。そういったイメージもあってルールの登場数のわりに解答者数は伸び悩んでいるような印象を受けます。
 しかし、ある程度の難易度までであれば、実はそれほど苦労することなく解くことができます。そこで大切なのは、やはり詰め上がりを想定することです。
自分なりにポイントとなりそうなところを3つまとめてみました。この3点に留意しながら解図していけば、案外普通のばか詰よりイメージを絞りやすいかもしれませんね。
 
(個人的)クイーン3原則
1)詰め上がりはまず隅を考えよ
2)3方向からクイーンを包むことを考えよ
3)斜め後ろに利きがある駒の使い方


 創作、解答時に私が心がけていることを列挙してみました。順に考えてみましょう。

1)詰め上がりは隅
 11と19は真っ先に詰め上がり地点として考えていきたいところです。次に21、少し劣って12、18、29です。作家として詰め上がりおよび手順を構築しやすいのは概ねこの順かなあと思います。

 クイーンは四方八方に利きを伸ばしている駒ですから、これを詰ませようとするにはまずそれらの利きを遮断する必要があります。例えば都のQを詰ませようとすれば、8方向へ利きが伸びており、これらすべてに対応するのは容易ではありません。中央より端へ、端より隅へ、利きが伸びないような地点に誘導することが大切ですね。

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 相手の壁駒がない無防備なQは、少なくとも3枚の駒を駆使せねば詰みません。
 例えば以下のように。

2016-02-27d.jpg

 3枚の攻駒が、Qの3方向に伸びる利きを止めていますね。最重要テクニックです。

 先ほど21も詰みやすいと申し上げました。実際に一路ずらしてみましょう。
 
2016-02-26b.jpg

 確かにこれでも詰んでいます。こちらのほうが駒効率が良さそうに見えるので、作家的には採用してみたい形ですね。
 
 しかし、調子に乗ってもう一路ずらすと…

2016-02-26c.jpg

 11地点と13地点に逃げ道ができてしまいました。盤端に誘導するだけではQの利きを封鎖しきれないことがお分かりいただけるのではないかと思います。

2)3方向からクイーンを包む

 (1)とほぼ同様なのですが…、手順中のQの追い方に視点を移します。
 今度は19地点で有力な詰め上がりを紹介してみます。

 2016-02-26d.jpg

 こちらです。私ももう本当に何回つかったのか分からないぐらい使っています。
 11に比べ19は詰め上がりのバリエーションが少ない印象があります。既存の詰め上がりに作品が集中してしまう事情は、このあたりにあるのかもしれません。

 上図を頭に入れた上でこんなばか詰を解いてみるとしましょう。
 
クイーン王ばか詰 5手

2016-02-27a.jpg

 17金、29Q、28金、19Q、29金打 まで 5手詰め

 初手および3手目は着手した時点では何故その地点に金を打つのか分かりにくいものですが、詰め上がり図を想像しながら、逆算法で考えていけば至極当然の封鎖網と考えることができます。どこに追い込んで、どうやって抑えこむかを念頭に置いて攻めていけば、読みの負担をかなり軽くすることも可能でしょう。
 逆算法は最終手をある程度予想できる点でもとても有用な解図法だと思います。

3)斜め後ろに利きがある駒の使い方

 11地点のQを攻駒3枚だけで詰ませる詰め上がりをいくつか、思い浮かべてみてください。




 ……いかがでしょうか?
 1つ挙げるとすれば、こんなものでしょうか。これも有名な詰め上がりですね。
2016-02-27e.jpg

 どんな詰め上がりを考えていただいても結構なのですが、銀か角、あるいは龍、馬といった、斜め後ろにも利きを持つ駒を1枚は使いませんでしたか?
 
 そうなのです。斜め後ろに利きのあるような駒がなければ、11-19のラインを封鎖する駒に紐をつけることができないのです(逆に、19地点では金2枚ほどさえあればそれほど労せず詰ませることができます。(2)での図の通り。)
 きっと詰め上がりの探索をする上で意外と役立つ知識のはず。


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 では早速次の作品を解いてみましょう。
 (いつも佐々木さんの作品の紹介ばかりになってしまいます。それだけ、氏が基本に忠実に創作していらっしゃるということなのでしょうね)
 
佐々木寛次郎氏作 (詰将棋パラダイス/2014年11月)

クイーンばか詰 9手

2016-02-26a.jpg

 ここまで記事を読んでくださった方なら、きっと解けるはず。
 
 ではまず詰め上がりを想定します。まあ、十中八九11での詰め上がりでしょう。初形の時点で包囲網の基礎がある程度固められていると判断できるように思います。
 
 金4枚。斜め後ろに利きはありません。よって11-19のラインを封鎖するためには、1筋に金を重ね打ちする必要があるだろうと思われます。(そう考えると、初形配置の14金は不動で、持駒の金は13に打つかとどめかのどちらかだろうと、ここまで絞れます)。
 順々に考えていけば、以下の詰め上がり予想図に辿り着くのは容易だと思います。

2016-02-27c.jpg
 
 こんな感じですね。
 あとはこの図に到達するように、逆算と順算を駆使しながら解いていけばいいと思います。

↓解答は白抜きです。

 22金寄 41Q 31金 42Q 33金 12Q 13金打 11Q 22金左 まで 9手
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Web Fairy Paradise 第92号

感想
02 /22 2016

 学生詰キストのみなさん!
 詰将棋もいいけど、勉強もしろよ!危ないぞ!
 ……

 かく言う私は黙々とブログ更新です。

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今月号 → http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/WFP92.pdf

 とりあえず、ざっくりと読みました。以下、わかる範囲で。

■はじめに
 おめでとうございます!プライベートがお忙しいのに毎月欠かさずの更新、本当にお疲れ様です。

■WFP作品展
・出題稿

 「りゅうおうのおしごと!」を読んだことは無いのですが、酒井氏?の名作が紹介されるとは、なかなかディープな内容なのでしょう。緊迫した将棋のシーンで盤面がお粗末となると、やっぱりちょっと残念ですからね…。監修の方、グッジョブです。

 最近何も思いつかない私の登場はなし。
 今月の新規出題は神無太郎さん、占魚亭さん、変寝夢さん、真Tさん。神無太郎さんと変寝夢さんは常連ですね。占魚亭さんは精力的に創作をされているイメージ。入魂の一作にも期待がかかります。そして真Tさんは久しぶりの登場。大ファンなので興奮しております笑 今後も新作よろしくお願いします!

・結果稿
 DD++さんって、どなたなんでしょう…?気になります。「あの方かな?」って心当たりがないわけではないですが…。
 変寝夢さんは確か四百人一局集で知ったっけな?

 自作はいずれも超短編で地味げな手順ですが、それなりに気に入っています。

■Fairy of the Forest #46
 
 神無七郎さんは相変わらずすごい作図技術ですね…。

■作品募集一覧
↓引用

フェアリー入門
課題:Q(クイーン)を含む作品、1,3,5 手の最善詰、協力詰
募集締切:2016 年 3 月 10 日


フェアリー版くるくる展示室
・ 盤は9×9、駒は普通の将棋駒及び駒数内
(フェアリー駒はとりあえず不可)
・ 後手持駒制限 OK
・ ルールは何でも OK(協力詰、かしこ詰、
打歩詰、自玉詰系、ステイルメイトなど何
でも OK)
・ 手数制限なし

第 44 回神無一族の氾濫
お題:逆王手を含む作品
1人何作でも可

募集締切 2016年4月17日(日)

Fairy of the Forest #47課題発表
■ 2016 年 02 月 20 日:課題発表:(協力詰)玉が動いて王手
□ 2016 年 04 月 15 日:投稿締切
□ 2016 年 04 月 20 日:出題
□ 2016 年 05 月 15 日:解答締切
□ 2016 年 05 月 20 日:結果発表


 詳細および連絡先はWFPをご確認ください。

 ご覧の通り、奇しくも氾濫とFOFの課題がともに自玉絡みのお題となりました。珍しいこともあるものですね。今、アツいテーマということなのでしょうか。面白くなりそうな題材です。自分が面白くできそうかというと、自信ないですけど…汗

5手ばか詰の手筋(4後)

5手ばか詰
02 /18 2016
そっぽ(後)

 前編 → http://fairypara.blog.fc2.com/blog-entry-36.html

 前掲
2016-02-17b.jpg

 上の図で22龍とすれば、14玉と潜り込むことができるのでしたね。
 逃がしたいところへ逃がすといえば、こんな図も考えられます。

2016-02-17c.jpg

 23飛「成」ではなく23飛「生」とすれば、これまた14玉の手を助けることができます。
 表現は違えど、目的は似通っていると言えるでしょう。



 ばか詰でよく用いられる「そっぽ」の意味付けについて、今回は3種類触れてみようと思います。

1,玉が逃げる空間を確保する
 
 一番多く使われる意味付けでしょうね。要するに先ほどの例の14玉のことを指しています。
 そっぽで動く駒として圧倒的に龍が多いのも特徴の1つです。馬は時たま見るかなあ…くらい。

 これまで紹介した作品のなかだと、以下が該当します。

○佐々木寛次郎氏作(詰将棋パラダイス 2006年7月)

6Tm (2)

 85龍 64玉 94龍 75玉 74龍 まで 5手

 そっぽに逃げないと玉を75地点まで引き込めないことをご確認ください。

 この他では、http://fairypara.blog.fc2.com/blog-entry-12.htmlの長谷繁蔵氏作および勇者ロト氏作も同じ意味付けになっていますね。
 
 改めて振り返ってみると、やっぱり多いなあと感じさせられます。


2,互いの利きに干渉しない

 そっぽの動きで稼いだ一路の空間を利用した意味付けと呼べます。この意味付けでも、そっぽで動く駒としては圧倒的に龍が多い。

Ⅰ図 (ばか詰 3手)
2016-02-18d.jpg

59龍、46玉、36金 まで3手詰

 そっぽの妙手感は、常にそっぽをしない王手との比較によって成り立つと言ってもいいかもしれません。Ⅰ図で言うならば、解答者および鑑賞者に58龍と59龍の比較を提示しろということです。上の意味付けは単純で、58龍だと角筋を塞いでしまうのでそこで差別化を図っていることになります。

 この意味付けは普通詰将棋でも可能ですね。中合を考慮しなくても良いばか詰では、良くも悪くも比較的あっさりした表現となります。

 意味付けから表現に辿り着くとすれば、こんな表現法もあります。

2016-02-18e.jpg

 ほぼ一緒なので手順は省略しますが、2の意味付けの範疇で考えるとするなら、そっぽも遠打も似通っているのですね。


3,そっぽ地点で働く
 
 金そっぽや銀そっぽ、桂そっぽなどは主にこの意味付けです。
 これらの駒で大切なのは、2での58龍と59龍の比較のようにそっぽとそうでない手の間での純粋な比較ができないことです。

Ⅱ図  ばか詰 3手
 
2016-02-18a.jpg

 53金、44玉、54金まで 3手詰
 
 初手53金は確かに玉から遠ざかる手のように見えますが、それはあくまで(比較対象がないので)印象だけの話です。54金と活用するための手と考えると、一番自然な手と解釈されても仕方ありません。

 意味付けとしての論理的な面白みを引き出すのは難しいかもしれませんが、1,2の意味付けに比べて多彩なバリエーションが考えられるのもまた事実。使い方次第では結構面白くなる題材だと思います。


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 最後にそっぽが登場するような実際の作品を少しだけ紹介して終わろうと思います。二作ともばか5手詰。答えはちょっと間を置いてからコメント欄に。

佐々木寛次郎氏作(詰パラ 2006年4月)

2016-02-18c.jpg


桝田隆行氏作 (詰パラ 1990年3月)

2016-02-18b.jpg

 

 

5手ばか詰の手筋(4前)

5手ばか詰
02 /17 2016
第四回(前):そっぽ

 前回の記事の解答から。

(自作)39香、38金、37龍、同金、26桂 まで5手詰

 駒を捨てようにも、取ってもらうための駒がない。ならばそれを発生させてしまおう。
 出来はあんまり良くない。

(勇者ロト氏作)15金、同馬、12金、14玉、13金 まで5手詰

 象形は私としてはさほど加点要因にはならないが、本作の場合は別。端への捨駒ってだけでも見えにくいのに、左右対称形を崩す気持ち悪さも相まって心理的な読みにくさをより一層強いものにしているように思えた(深読みしすぎ?)。もちろん、金の二段活用も気持ちいい。


 さてどちらの手順でも、攻方は攻駒を玉から遠ざけるような方向に動かす手順があります。前者でいう37龍、後者でいうと12金がそれにあたりますね。ばか詰ではそんな「そっぽ」の手がよく現れます。これまで紹介してきた作品にもよく登場してきた手順ですよね。

 なぜ作家たちは、そっぽを手順に入れたがるのでしょうか?

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 普通詰将棋を含めると、そっぽと聞いて真っ先に思い浮かべるのはこの作品でしょうか。

柏川悦夫氏作 (詰将棋鞠藻集 昭和26年11月)

2016-02-17a.jpg
 
 初手が意外だというわけです。同じ開き王手をするんだったら、33金などとしたほうがよっぽど使い勝手が良さそうに思えますよね。

 玉から離れる手には、攻駒を敢えて遊ばせてしまうような不利感があると言えそうです。

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 不利感があると言っても、実際に不利だったとしたら作意順として成立しません。詰将棋である以上、そっぽでなくてはいけない意味付けがあるのです。今となっては不利感の演出というより、攻駒(特に龍)の移動を限定するための意味合いが強いのではないかと推測します。身も蓋もない結論ですが…。

 では、そっぽの意味付けにはどんなものがあるのでしょうか?最も多いと思われる意味付けに「空間に余裕をもたせる」というものがあります。もちろん、そっぽの意味付けとして他の表現がないわけではありません。前置きとして軽く触れておきましょう。例えばこんな感じ。

図1
2016-02-17ha.jpg

 67銀、49玉、58龍 まで 3手詰
 58への利きを残す着手として初手47銀と67銀を比較するとすれば、玉に近いぶん47のほうが良いように思えます。しかし後者のほうに「角筋の遮断」という役割を付与させることで、無理やり差別化を図ってやろうという寸法です。

 このような形で、上図でいう67地点(そっぽの地点)に行かねばならない理由を構築してしまえば、一応そっぽにはなります。ただこれは「そっぽに仕立てた(そっぽである必然性が薄い)」感が少し嫌味でしょうか。特に上の図などは、△76角→36角と配置を変えてしまえば折角のそっぽが消えてしまうわけでして、そっぽが出現するかどうかは作者の心次第といった印象を受けます。もちろん、工夫次第で面白くなることはあるでしょうが…。

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 多くのばか詰で、「空間に余裕をもたせる」という意味付けでそっぽが表現されています。
 そっぽという行為から連想する目的として一番自然な意味付けである上、ばか詰らしさも期待できるからでしょう。図1のような意味付けは普通詰将棋でも可能ですし、わざわざフェアリーでやる必要性があまり感じられないのかもしれません。

2016-02-17b.jpg

 上のような図で14玉と入ってもらうためには龍が強すぎます。敢えて22龍と遠ざかって攻めることで、潜り込むための空間を確保します。
 14地点を空ける行為は、相手が進んで14に入ってくれるからこそ意図がはっきりしてくるというものです。このあたりが「ばか詰らしい」と表現した所以です。相手が協力してくれる環境下で初めて成立する手順であるわけですね。

 続きます。

5手ばか詰の手筋(3)

5手ばか詰
02 /12 2016
第三回:捨駒

ばか詰 3手

2016-01-18a.jpg

 第一回の記事でも出た図です。

 そもそもこの図が普通詰将棋では詰まず、ばか詰なら詰む理由は一体なんなのでしょうか?
(毎度毎度ばかばかしい質問ですみません)

 もちろん答えとしては「詰むように逃げてくれるから」となるわけですが、その「詰みやすい逃げ方」とは、一般的性質としてどのような逃げ方なのか?
 
 上の図の正解手順は53歩成、51玉、52銀 まで3手詰でしたね。受方の応手にばか詰と普通詰将棋の差異があらわれているとするならば、上の図をばか詰たらしめているのは2手目に「51玉」と逃げた手ということになります。
 多くの場合、受方は攻方の攻駒が保持されるような手を選びます。そうしなければ上の図など絶対詰まないのですから、当然ですね。先ほどの文章の「逃げる」という単語にもその心理が反映されていると言えるでしょう。普通詰将棋ならば「抵抗する」やら「応じる」となってしかるべき表現です。

 ばか詰で受方は攻めが続くように手を選ぶ。それは大雑把に言えば攻方の駒が残るような応手であり、暗黙の協定の下で応酬が繰り広げられていると表現できるかもしれません。文字通り、「協力」詰というわけですね。

 そしてフェアリストはへそ曲がりですから、そんな自然発生的感覚の逆を行こうと思うわけです。
 
「だったら捨駒を入れてやろう」と。

 ばか詰で捨駒が心理的難手となる理由は、これまでの説明でなんとなくご理解いただけるのではないかと思います。差し伸べられた手を自ら払いのけるような感覚とでも言いましょうか、ばか詰では普通詰将棋以上に、捨駒の非効率性が強調される。だからこそ、不利感や意外性の表出を期待できるでしょうね。
ただ、不利感は確かに演出できますが、実際に不利であることは決して保証されていません。工夫のない捨駒はたとえそれが見えにくいものであったとしても、その意外性が面白さも保証してくれるわけではないのです。一作のテーマとして採用するためには、それ相応の付加価値を作者は用意しなければならないでしょう。もちろん、それを考えるのが創作の楽しみとも言えます。

 なぜ、ばか詰なのに駒を捨てるのか?どうやって捨てるのか?どんな意味付けにするのか?作者の腕の見せどころですね。
 
以下実例。

花沢正純氏作 (詰パラ 1971.2)
ばか詰 3手


2016-02-12a.jpg


有名な図。↓作意順を載せてしまいますがご了承ください。





91飛 同角 22金 まで 3手

 駒の利きを逸らす。今となってはメジャーな意味付けです。
 この意味付けを用いた他の作品としては、第一回フェアリー短編コンクール(WFP 2009/12)の神無太郎氏作などを思い出します。


 アプローチの一例として自作を1つ。
 なんでもかんでも自作をねじ込む厚顔無恥っぷりを発揮してしまい恐縮ですが、記事を書くにあたり、あんまやってなさそうな分野をマッチポンプで埋め合わせているだけです。一人芝居は寂しいので、願わくば後のどなたかに、決定版でもって自作なんか蹴散していただきたい。

ばか詰 5手 (未発表)

2016-02-12b.jpg

色々気に入らないところがあるので、とても投稿できる代物ではありません。
お膳立てとしてのテーマが用意されて、やっとギリギリ人前に出せるかどうか…。
駒を捨てる理由というより、駒をどうやって捨てるのかがテーマになっています。


最後は、立派な作品に登場してもらいましょう。

勇者ロト氏作 (詰パラ 2012.5)
ばか詰 5手

2016-02-12c.jpg


 近年の5手ばか詰のなかでは印象に残っているうちの一作です。
 ノーヒントならめちゃくちゃ難しいのでは?いやー、これは本当に見えなかった。

 解答はコメント欄ではなく次回の記事で。

5手ばか詰の手筋(2)

5手ばか詰
02 /06 2016
第二回:受方の成/不成

 最近は推理将棋のことばかり考えています。手順の自由度が高く、検討が本当に大変ですね。
 いつも柿木先生とFM先生に助けられている身ですし、苦しむ創作もたまには必要かもしれません。
 
 さて5手ばか詰です。今度は受方の駒に着目してみますよ。
 例えばこんな図があったとしましょう。

ばか詰 5手

2016-02-06a.jpg

27金、同飛不成、17金、同飛不成、26金 まで5手詰

 受方の戦力は、弱いほうが詰め上がりの邪魔にならないだろう…。そんな考え方が当てはまる手順です。当然ながら飛車を成ってしまうと最終手を26同龍と取る手が生じますね。

 前回の記事で「普通に考えれば攻方の駒は成ったほうが得」だと確認したのと同様に、「普通に考えれば受方の駒は成らないほうが得」なように思われます。

 しかしこうするとどうでしょう?

ばか詰 5手

2016-02-06b.jpg

27金、同香成、17金、同成香、26金 まで5手

 香と杏を純粋に比較できるわけではないので、適切な例とは言いがたいですね…。
 ただ、17への利きを強くしたほうが有利だというのは、ばか詰ならではの感覚なのではないかなと思います。


 純粋な成生の比較でいうと、自作ではこんな例があります。

 ばか詰 5手 (Fairy of the Forest#44)

2015-11-18b.jpg

 38香、同飛成、18角、27龍、37銀打 まで5手

 二回目の登場です。龍と飛の比較ならば、きちんと上位互換/下位互換の関係だとみなせるでしょう。
 敢えて受けの駒を強くしないと詰まないわけです。もちろんそれだけでは一作のテーマとしてまだ弱いですから、39香と38香の比較も盛り込んでみました。いかがでしょうか。

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 「普通に考えれば受方の駒は不成にしたほうが得」だということ。その上で成る選択をしたほうが得となる場合もあること。この2つが今回のポイントです。創作、解答、鑑賞の際に役立てていただければと思います。

 最後はこのテーマでの作例を紹介して終わりましょう。

 ……。

 
 あれ?このテーマでつくられた作例、案外ありません。
 知らないだけだったら申し訳ないんですけど、少ないことには変わりはないはず。

 作家のみなさん、狙いどころですよ。


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〔追記〕
神無七郎さんに紹介していただいた作品の図面を貼っておきます。



「久米良昭/詰将棋パラダイス/1972年6月」 ばか詰 #5
2016-02-10a.jpg

「市木知宏/詰将棋パラダイス/1973年7月」 ばか詰 #7
2016-02-10b.jpg

「八尋無段/詰将棋パラダイス/1974年2月/角を詰める」 ばか詰 #13

2016-02-10c.jpg

2016年記事一覧

未分類
02 /02 2016
2015年記事一覧はこちら → http://fairypara.blog.fc2.com/blog-entry-21.html

増えてきたら分割します。

■イベント
第2回 とり研(前) (後)

■5手ばか詰の手筋
5手ばか詰の手筋(1):攻方の成/不成
5手ばか詰の手筋(2):受方の成/不成
5手ばか詰の手筋(3):捨駒
5手ばか詰の手筋(4前):そっぽ
5手ばか詰の手筋(4後):そっぽ
5手ばか詰の手筋(5):両王手
5手ばか詰の手筋(6):取らずの手筋

☆ばか詰以外のフェアリールール
■禁欲
欲をださないと面白い?(1) ← 前年
(2)
(3前)
(3後)

■強欲
欲張っていこう

■透明駒
フェアリー入門:透明駒
フェアリー入門:透明駒(2)

透明駒の受賞作:Fairy TopIX 2014 會場健大氏

透明駒 各論(第76回WFP作品展)

■クイーン
 クイーンとは
 クイーン:演習編
 クイーン:自作集

■推理将棋
 推理将棋 おもちゃ箱 102-2
 推理将棋 詰パラ306

■普通詰将棋
山路大輔 2015年度詰将棋サロン発表作
パスファインダーの歩み


■自作
2015.12 短編コンクール ④
2016.1 詰パラ小学校⑤
取らせ遠打!?

■感想
○フェアリー
WFP1月号
Web Fairy Paradise 第93号 感想
Web Fairy Paradise 第94号 感想
祝!WFP100号


○普通詰将棋
2015/12の短コンの感想
詰パラ1月号&将棋世界
詰パラ 3月号
詰パラ 4月号 感想 
詰将棋解答選手権
『果し状』
詰パラ 5月号
詰パラ 8月号
詰パラ 10月号

■単発記事
スマホ詰パラ 作者一覧
コンピュータの全検と創作