パスファインダーの歩み

普通詰将棋
06 /29 2016
 スマホ詰パラを草創期から支えた作家たち。そのうちの一人がパスファインダーさんであります。本誌(実名で投稿)に発表されている作品のレベルも非常に高く、氏の実力は誰もが知る通りですよね。
 今回はスマホ詰パラの作家として、つまり「パスファインダー」としての一面を伝えられたらと思います。
 紹介いたしますのはこの1作。

スマホ詰パラ No.6691 「働き者の銀を召喚」

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 本作は内容が素晴らしいのはもちろんのこと、氏にとってスマホ詰パラ発表第100作目の記念碑的作品でもあるのです!スマホ詰パラ同人記念作とも言えるでしょうか。気鋭の若手作家でありながら、既にベテランの風格すら漂っているのも納得ですね。

 パスファインダーと言えば、簡素な初形からの合駒群が代名詞の作家です。
 概して簡素形の合駒作品は、変化が煩雑で難しくて、収束はちょっと乱れがちになってしまうものです。本作も普通に解くならばかなりの難解作だと思われますが、そこはスマホ詰パラ。合駒を自動的に決めてくれる親切設計なので助かりますね笑 
 しかし本作が作意順だけしか見られないまま消費されてしまうのは、なんとも惜しい。
 同じ空間で合駒を複数回出し、それらが複合的に絡み合う構成。これらは高い作図能力に支えられています。そこを是非見ていってほしいのです。彼の技術の一端でも伝えられたらなと思います。

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 初手24香もありそうですが、ちょっと届きません(作者談)。初手は43角成と行きましょう。
 そしてこの変化群がすこぶる難解。まず簡単に歩合としたらどうなるのか。これは23香、12玉、22香成、同玉、23銀、同玉、45角、14玉、23銀、24玉、34馬、13玉、25桂のように進めて比較的簡単に詰みます。この基本となる変化手順を防ぐような合駒をそれぞれ考えていくことなりそうです。23地点や22地点、34地点など、どこかしらに利きが残すことができれば生き延びられそうです。つまりどの合駒も有力ということ笑 
 いきなり難所に差し掛かってしまいました。ここについてだけで文字数が膨大になりそうなので、申し訳ありませんが割愛します。詳しくは動く将棋盤でご確認ください。

 ざっくりだけ言います。例えば香合や飛合では、33桂と34への利きを止められ、守備駒としてあまり働けません。結論だけ言えば、23地点へ利く合駒、つまり金か銀かが正解となります。
 とりあえず2手目は32銀合ということで進めていきましょう。

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 変化順では33桂と打ちましたが、ここではあまり効率的な攻めとは言えません。桂を温存して、12銀と攻めます。同玉、34馬とさらに合駒を伺います。

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 23合としますが、安い合駒だと以下14香、13合、24桂、22玉、11角、同玉、13香生で簡単ですので、合駒は飛、金のどちらかです。

の13合について少し簡単に触れておくと、
 強い合駒をするとしたら、11角を取り返せる飛合しかありませんが、これは単純に同香成と攻めればOK。
 よって13合は渡したときに弱い合駒が正着で、桂か香が怪しいです。桂合は以下14香、13合、24桂、22玉、11角、同玉、13香生、同金、12銀、22玉、44馬、33合、34桂まで。

 よって正解は香合です。

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 とりあえずここまでの手順をおさらいしておくと、

 43角成、32合(金か銀)、12銀、同玉、34馬、23合(飛か金)、14香、13香、24桂、22玉、11角、同玉、12銀、22玉、23銀成、同X(金か銀)。

ここまでは確定していそうです。

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 ↑先手持駒は飛か金。

 この図を見れば一目瞭然。もし23の駒が金であるならば、12飛(or金)と打ち込んで早詰です。よって2手目の合駒は、ここでナナメ後ろに利く銀の他ありえないことが分かりました。作意順と平行して合駒の差別化が判明する展開は、非常に明快で好感が持てます。

 終わりが見えてきましたね。ここでは13香成と誰もがしたいところで、これには同玉の一手。ここで持駒が飛であれば12飛から簡単です。持駒金だとどうでしょうか。先ほどと同様に12金としても、同銀ではなく14玉と潜られてしまいます。これがどうしても詰まないのです。

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 16手目の局面に戻ります(再掲)。

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 6手目飛合ではここで13香があり早詰。よって金合が正解であることが分かりました。そしてこの局面の正着は、12金!、同銀、13香成、同銀の不利感のある手順前後でした。これならば13香成に対しての同玉には12桂成とすることができます。それは分かっていても、わざわざ相手の応手を増やしかつ自分の攻めを細くするようで心理的にやりにくい攻め方であることは間違いありません。
以下は収束。最後までそつなくまとまっているのがニクイですね。

正解手順:43角成、32銀合、12銀、同玉、34馬、23金合、14香、13香合、24桂、22玉、11角、同玉、12銀、22玉、23銀成、同銀、12金、同銀、13香成、同銀、23香、11玉、21香成、同玉、12馬まで25手詰




 こうして振り返ってみると、 合駒の割り切り方が実にスマートであることに気付かされます。特に金合(作意)と飛合(変化)の違いが、14玉と潜れるかどうかに懸かっているところがいいですよね。こういう鑑賞者的に面白い局面を活用して金合と飛合の違いを創りだしたのは、作者もおいしいと思ったはず。
 △15歩配置が二歩禁だけでなくあらゆる変化で退路封鎖に働いていることも見逃せません。

 これだけ膨大な変化をたたえながら、作意順はいたって軽快に進みます。概してこういった簡素系で合駒を読ませる作品は手順が淡白になってしまいがちでありますが、本作では銀に取られる形まで待ってから香成を決行するところなど手順にも主張を感じますし、収束もコンパクトな清涼詰で決まっていて、全く緩みを感じさせない完璧な全体構成です。

 素晴らしい出来ばえと思います。気品がありますよね。


=作者コメント=
「こんにちは。パスファインダーです。
 本作品ですが、簡素図式から限定合が飛び出し、還元玉で清涼詰。'パスファインダー'としての作風に合致しており、手順も気に入っているので、スマホ詰パラ入選100回を記念する作品として発表させていただきました。入選100回を超えてからは、専ら本誌へ投稿しています。自作を解いたり、鑑賞していただけると嬉しいです。今後も好作を発表していけるよう努めていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。」
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自称フェアリストです