欲を出さないと面白い?(4)

禁欲
02 /24 2017

 「かしこなフェアリー」(リンク先p13)宣伝も兼ねて、禁欲詰を久々に取り上げます。
 
※ちなみに、「かしこなフェアリー」解説担当は某とり研皆勤賞作家にお願いしています。自分ではないです(もう答え言ってるようなもんだな)。

【禁欲】駒を取らない手を優先する。
【最善詰】攻方は受方がなるべく早く詰むよう王手を掛け、受方はなるべく詰まないよう応じる。

※最善詰は、とりあえずここでは指定手数以内で詰ませる詰将棋と思っていただければ大丈夫です

 禁欲詰はかなり普通詰将棋に近い感覚のフェアリールールで、以下の2作もほぼ普通詰将棋とほとんど変わらない仕上がりになっています。収束に駒を捨てやすいのも、詰将棋っぽくて良いですね。

■禁欲最善詰 15手(Web Fairy Paradise 2015/11)
2017-02-11a.png

18飛、(イ)17馬、26銀、16玉、17銀、15玉、37角、26香、16銀、14玉、25銀、同玉、15飛、36玉、35飛 まで15手詰

(イ)16馬は26銀、14玉、15銀、13玉、23金まで。
(イ)17歩は26銀、16玉、17銀、15玉、16歩、14玉、15歩、13玉、23金。
(イ)17桂は同飛、16歩、26銀、26銀、14玉、15銀、13玉、23金まで。

 「フェアリー入門にかこつけて」のなかでは一番構想作っぽい?
 4手目16玉が不利逃避だというのが作者の主張です。初手の26銀は禁欲ルールのせいで取れないものの、飛筋を通してからの26銀は取ることができます。受方は馬を犠牲にしてその展開に持ち込もうとします。

 2手目は不利逃避の空間をつくるための移動中合と言えるでしょうか。

 なにかもう少し自然な配置にできたらorもっと逆算できたら、解答募集するところへ投稿しても良かったんですが…。とりあえず狙い部分が伝わればいいなと思います。



■禁欲最善詰 21手(Web Fairy Paradise 2016/5)
2017-02-11b.png

12角、11玉、23桂不成、(イ)同金、21角成、同玉、(A)22香、(ロ)11玉、12歩、22玉、33銀左成、21玉、22歩、同金、11歩成、同玉、22成銀、同玉、23銀成、21玉、22金 まで21手詰

(イ)4手目12玉は13香、21玉、11香成 まで
(ロ)8手目12玉は(13歩、11玉、12歩成、同玉)×2、23銀成、11玉、12金、
 10手目同玉も同様に持駒の歩を消去すれば23銀成が可能になる。

 20手目、21手目に非限定あり。

結果→ http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/WFP95.pdf

 香先香歩。7手目の香打ちがそれです。1筋への香打ちを残したいように見える形なので、先に香を使ってしまうのはなかなかの不利感(があるといいな)。
意味付けが分かるのは12手目13玉の変化です。

2017-02-12b.png

 7手目に香を温存し(A)22歩とすると、ここの局面で(1)12地点の歩が香になっているか、(2)持駒の歩が香になっているか、どちらかの状態に陥ります。

 作意では持駒も12の駒も歩になるので、二歩禁で14歩の王手がききません。駒取り以外の王手候補が1つも無いので、23成銀の駒取りが可能です。しかし紛れ順になると、(1)でも(2)でも1筋に持駒を打つ手(=駒取り以外の王手)が残っているせいで、23成銀が着手不能になっているのです。

 二歩禁の作品は普通詰将棋でもありますが、自分で自分の首を締めるほうな意味付けはフェアリーならではと言えるのではないでしょうか。

 序6手の逆算はあまり狙いと関係ありません。しかし
◯香が必要な変化(イ)を盛り込むことで持駒に必然性を持たせた
(=香先香歩のためだけの持駒香と言われないようにした)
◯7手目の局面が初形だと
・初手にピークが来てしまうし
・当たり駒になっている中空の金配置が気持ち悪い

 という理由があったので入れました。守り駒は玉に隣接していたほうが据わりがいいですね。
 
 禁欲詰では19手目23銀生など、玉をひたすら追い回す迂回的余詰が無数に生じますがこれは最善ルールですべて割り切っています。禁欲特有の余詰を割り切るために最善ルールが必要になることは思ったより多くて、今後「禁欲最善詰」の出題は増えていくでしょう。






 以上、久々の禁欲でした。
 冒頭でも述べた「かしこなフェアリー」(リンク先p13)の締め切りは3/5(日)です。詳細はリンク先参照。解答お待ちしております!
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ブログ作品展結果④

ブログ出題
02 /21 2017
■「諸事情で投稿できない?フェアリー作品展」結果
 (1)アンチキルケばか詰 5手
 (2)アンチキルケばか詰 7手
 (3)アンチキルケマドラシばか詰 5手(2解)
 (4)アンチキルケマドラシばか詰 5手(2解)




「諸事情で投稿できない?フェアリー作品展」④の解答です。

【マドラシ】同種の敵駒が互いの利きに入ると、利きがなくなる。

【アンチキルケ】
駒取りがあったとき取った方の駒が、最も近い将棋での指し始め位置に戻される。

[補足]
戻り方等は以下の細則に従う
1) 成駒は成ったまま戻る。
2) 戻り位置に駒がある場合は戻らずに通常の駒取りをする。
3) 駒取り時、駒が戻るまでを一手と見なす。
4) 金銀桂香(成駒も含む)が5筋で駒取りを行い、複数の戻り先候補がある場合、戻る位置を選択できる。片方にのみ戻れる場合は強制的にそちらに戻る。


おさらいは
 マドラシ → マドラシ鑑賞
 アンチキルケ → アンチキルケ入門(たくぼんさんのページ)

④アンチキルケマドラシばか詰 5手(2解)
 2017-01-06b.png

【手順】
a)49銀、59玉、69飛、61飛、62金 まで5手詰
(詰め上がり図)
2017-02-19b.png

b)39銀、49玉、59飛、51飛、58金 まで5手詰
(詰め上がり図)
2017-02-19c.png

【解説】
 初っ端から横道にそれますが、まずはマドラシ特有の着手の一例を示したいと思います。
2017-02-19a.png

 12と32の飛の利きがぶつかっているので、両者の利きは消失しています。
 ここでの22金!が飛の利きを復活させる両王手。同玉とは取れないのもポイントです。
 自分の駒の石化を解除するかっこいい決め手のようで、是非ともマドラシ作品の最終手にもってきたいと誰もが思うはず。
 しかし22金の局面では同飛の受けが残っているのでダメなのです。22金で石化が解除するのは相手の飛車も一緒なのですね。上の例で示したように、一般的にマドラシ作品では「石化を解除する手」が最終手になることはありえません。

 さて本作ではどうでしょう?a)でもb)でも石化を解除する手が最終手になっています。先ほどの話では、同飛と取り返す応手があったはずですが…?
 ここでアンチキルケルールの登場です。a)、b)いずれでの金打ちにも、同飛の応手が残っているようですが、この飛はアンチキルケルールによって82飛地点へと戻されてしまい、先手飛を石化できないため王手外しになっていないのです!
 アンチキルケを付加することで、「石化解除の手」を最終手に持ってくることが可能になっているのですね。

マドラシ単独でも、ちょっと工夫すれば石化解除の手を最終手にすることが可能になります。さて、それはどんな方法でしょうか?

 以下a)b)それぞれの手順を簡単に解説します。どちらの手順でも限定打が出てきますが、それらはいずれもアンチキルケルールによって限定されています。

a)詰め上がり図再掲
2017-02-19b.png

 6筋に飛を打ち合います。
 4手目△51飛は直後の▲52金を成立させるための限定打。この金打は、6手目69玉/51玉(=玉が69で駒を取って初形位置の51へ戻ることを示す)という「玉座への帰還」を阻むアンチキルケならではの手です。

b)詰め上がり図再掲
2017-02-19c.png

 こちらは5筋に飛を打ち合います。

 4手目△51飛は後手玉の復活位置を封鎖するための一手です。
 将棋版アンチキルケのルールでは、上で示した通り「2) 戻り位置に駒がある場合は戻らずに通常の駒取りをする」ことになります。
 よってこちらの手順での金打は59の飛に紐をつける58地点が正解になります。詰め上がり図を比較すれば、金打の位置の対比にも気付いていただけるかなと思います。

 いずれの手順でも後手飛の最遠打が出てきて、しかもその双方全く別の意味付けになっているというのはちょっと珍しいかもしれませんね。 

[投稿できなかった理由]
 この初形に同一作があるわけではないんですけど、a)b)それぞれ単体の手順ならば「ばか詰裸玉 絨毯爆撃」(神無太郎さんのホームページ http://2nd.geocities.jp/cavesfairy2/profile/)に収録されています。
 結局本作は上のページにある2つの詰将棋を1つの局面にまとめただけということになってしまいます。そうなると本作が新作と言えるのか非常に怪しい気がしてきたので投稿を断念。

【短評】(敬称略)
たくぼん-最終手の金打位置の対比がこれは見事。

占魚亭-銀の打ち場所の違いが最終手に影響を及ぼす。
bの手順の方が勝るかな。

☆bは49銀のほうの手順。意味付けによる高級感はこちらのほうが勝りますか。

高坂研-「何故、最終手で打った駒に対してマドラシの受けが利かないのか?」と延々悩む。そこに気付いてからも、今度は「マドラシ状態を切断した駒を取り返せば、またマドラシ状態に逆戻りするのでは?」と思って更に悩む。バカですねえ。
 解けてみれば、確かに2解は対になっている。一列ずれたエコーといったところでしょうか。

☆「マドラシ状態を切断した駒を取り返せば、またマドラシ状態に逆戻りするのでは?」とのことですが、ここがマドラシだけでなくアンチキルケもつけなければならなかった一番の理由であるところなので、そこを考えてくださったのはとても有難いです。
 正直に言いますと、「エコー」の定義が分かっていません…汗 なんとなく意味は分かるのですが。こっそり教えてくださいますと嬉しいです!




【総評】(敬称略)
たくぼん-懐かしい味を十二分に堪能しました。アンチキルケばか詰作品展をまたやってみたくなりました。

☆アンチキルケばか詰作品展からはたくさんの傑作が輩出され、当時私は「こんな面白いものがあったのか!」と驚いたものです。私のフェアリー初挑戦&初投稿の場所となったのも必然でした。
 次回開催も期待ですね。

変寝夢-2はそんなに簡単と思いませんでした。このルールは協力詰だと余詰やすい印象があります。3,4もチャレンジしてみますね。

☆3の解答も頂戴しました。

高坂研-何とか解けたものの、結局最後までアンチキルケ脳にはなれずじまい(笑)。
でも、奇妙な詰上りの数々には随分と刺激を受けました。
どれも面白かったですが、やはり4が一番私好みかな。

☆ありがとうございます!!




 以上で今回のネット作品展の解説を閉じたいと思います。解答者の皆様、ありがとうございました!
 またこの記事をきっかけにアンチキルケやマドラシに興味が湧いた方が少しでもいらっしゃったらいいなと思っております。ネット上の傑作たちはもちろんのこと、これからの詰パラやWFPもチェックしていただけたら幸いです。
 

ブログ作品展結果③

ブログ出題
02 /17 2017
■「諸事情で投稿できない?フェアリー作品展」結果
 (1)アンチキルケばか詰 5手
 (2)アンチキルケばか詰 7手
 (3)アンチキルケマドラシばか詰 5手(2解)
 (4)アンチキルケマドラシばか詰 5手(2解)



 「ばか詰で最強の駒は金である」と前に話したような気がしますけど、マドラシではかなり弱い駒になってしまいます。石化させる受けが常につきまといますからね。
 逆に最強の駒は成駒です。金は持駒から出せますけどと金は出せません。
 マドラシルールの詰将棋ではまず成駒を作る手順を読んでみて損はなさそうです。

 逆につくる側からいえば、成駒での詰め上がりは一見普通のばか詰と変わらない、マドラシらしさに欠けるような印象を与えかねないので、できれば避けたいところです。余詰筋としてはよくお目にかかります。
 逆に言えば、成駒をつくれないような構図を取ることがマドラシ創作で余詰を出さないコツと言えるでしょう。

--------------

「諸事情で投稿できない?フェアリー作品展」③の解答です。

③アンチキルケマドラシばか詰 5手(2解)
 2017-01-06a.png

 マドラシ → マドラシ鑑賞
 アンチキルケ → アンチキルケ入門

【解説】
 2解で出題したからにはその2解には関連性や対照性があるということです。そうでないなら一緒に出題する意義にハテナマークがつきます。本作はどうでしょうか。
 
 さてマドラシ条件なので角や香などでトドメになることは考えにくいです。馬をつくることになりそうです。その上でアンチキルケルールでもありますので、51地点に利きをつくることも必要ですね。
 この2つを満たす手順は、例えばこんなものがあるでしょうか。

[作意順?]33角、66角、55香、14玉、24角成?

 なんだか初手も2手目も非限定に見えます。ばか詰では非限定=余詰だったはずですが?
 …もちろん、非限定ではありません。相手角を発生させてしまったせいで、最終手に57角成!という受けが発生しています。馬と馬での石化ですね。

 本作のテーマは後手に馬をつくらせない2つの手段です。どうすれば57角成のような受けを消すことができるでしょう?この疑問が解答に至るヒントとなります。

 解の1つを示します。
a) 33角、99角!、55香、14玉、24角成 まで5手
 
 最遠打が出てきました。8の10なんて座標はありませんので最終手への受けが無いのですね。
 このように、盤端を利用して「駒の動きを制限するための最遠打」を極めて簡潔に表現できるのもフェアリーの魅力の1つです
さてもう1つの解もこの近傍にありそうです(そういうふうにつくりますのでね)。
初手が非限定のように見えると書きました。そして33角のほうに一解がありましたので、もう1解は42角~53香のほうに隠れていると考えるのがツインの考え方です。

そしてもう1解。
b) 42角、64角、53香、14玉、24角成 まで5手
 
 2手目が地味ながらも限定打。離して打つとやはり6手目に馬をつくる受けが生じます。
 実はこちらの解のほうが作者好みだったりします。少数派?

 このように、2つの解で後手に馬をつくらせない手法を2つ提示しました。1つは最遠打、もう一方は近打となっており、この対比が狙いだったのです。
 
 4手目からが全く同一に進むのは珍しい構成でしょうか…?

【短評】(敬称略)
たくぼん-最終手が99角なら行き場が無い、64角なら成れないという対比が面白い

変寝夢-初手が一マス違いなのに2手目がエライ変わってくるのですね。特殊ルールというと打歩ばかりに目が行きがちですが、可成地域を1?3段目と設定した人も偉大と思いますよ。
☆お互い自陣が3段ってロックマンエグゼみたいですよね(変な喩え)
エリアスチール可能な将棋とか面白そう!?とか適当なことを言ってみたり。

占魚亭-頭3手の違いがミソ。

-2手目は非限定と思いきや、角成で馬の利きを消す手で限定なのですね。

高坂研-マドラシの受けが成立しない場所が2ヶ所あるという訳か!

【重要】とり研開催日変更のお知らせ

イベント
02 /16 2017
 誠に勝手ではございますが、第3回とり研開催日を変更することにいたしました。

 (変更前)2017/03/18(土)
(変更後)2017/03/19(日)


 3連休の真ん中の日になりました。

現段階で参加連絡をいただいている方には事前にご了承をいただいておりますが、私どもが現段階で把握している方の他で、日程変更により都合が悪くなってしまった方がいらっしゃいましたら大変申し訳ないです。何卒容赦くださいますようお願い申し上げます。

 引き続き、皆様のご参加をお待ちしております。 
 参加連絡はできれば開催日の1週間前(3/12)までにお願いしたいです(延長しました)。

 会合の詳細につきましては「第3回とり研」の記事をご参照ください。

 連絡は上谷 tsumecontact☆gmail.com(☆を@に変換)
    または山路DMまで

マドラシ鑑賞

マドラシ
02 /13 2017
■「諸事情で投稿できない?フェアリー作品展」結果
 (1)アンチキルケばか詰 5手
 (2)アンチキルケばか詰 7手
 (3)アンチキルケマドラシばか詰 5手(2解)
 (4)アンチキルケマドラシばか詰 5手(2解)

ブログ作品展①、②と来てさて③の記事も書こうと思ったけど、
「あれ、そもそもマドラシルールについて解説してるサイト無くない?」と思ったので一度立ち止まりました。
体系的に述べるとかそんな大層なことは出来ないんですけど、導入程度は。




【マドラシ】同種の敵駒が互いの利きに入ると、利きがなくなる。

2017-02-10a.png

 どこかで見たことのある図ですが(笑)、この図はマドラシ条件下でも詰んでいません。
 後手には21金!や22金!といった受けが残っています。金と金の利きがぶつかるとお互いの利きが消失し(以下利きがなくなることを「石化」といいます)、王様に取りがかからなくなります。

 マドラシ特有の受けが分かったところで、それをどうやって創作に活かすか見てみましょう。

■神無太郎氏作
 マドラシばか詰 5手(Onsite Fairy Mate 1999.5)

※リンク貼ってます↑
2017-02-12c.png

 玉が互いにぶつかっていますが、違法局面ではありません。玉同士で互いの利きを消しあっているので、王手放置にはなっていないからです。
 このように玉もマドラシルールの対象とするものをKマドラシと呼び、一方対象としない(玉≠王 つまり別種の駒として扱う)ものをnonKマドラシと呼びます。nonKマドラシならばこの初形は違法です。

 初形で玉が動けないとしたら、49飛とでもしたら受けなし!?
 いやいや、48飛や39飛という、飛を石化する受けがありますね。

 「じゃあ、飛を枯らしてしまえば受けなしじゃないの?」
 これは良い着眼点です。39飛、49飛、同飛と進める手順ですね。
 
 確かにこうすれば飛を枯らすことができ一見成功のようです。しかし、この手順は不可能。なぜダメなのか、皆さんお気づきですね。……49飛合の時点で、飛同士で石化して3手目同飛とできなくなっているのです。

 ただこの発想は無駄ではありません。もう一種、枯らしやすい駒があります。
 以下は正解↓

19飛 29角 同飛 39角 68角 まで5手

 角を使い切ることで最終手の受けを無くしています。
 シンプルな意味付けで、金合、銀合(=4枚ある駒たち)との差別化を図っているのが良いですね。

 双裸玉で手を加えた痕跡が無いのに、双方の角打ちの地点が限定されているのもポイントです。
 無駄合概念の無いばか詰では、最終手77角の離し打ちは不正解。68歩合が手数伸ばしの合駒として認められるのはばか詰共通で、また推理将棋などと同様です。

■神無太郎氏作
 マドラシばか詰 5手(Onsite Fairy Mate 1999.6)

※リンク貼ってます↑

2017-02-12d.png

 36桂配置があるので、先ほどのような手順はダメですね。
 早速ですが作意順を見ていただきましょう↓

 19飛 29角 同飛 26飛 17角 まで5手

[詰め上がり図]
 2017-02-12e.png

 「さっき離し打ちは不正解って言ったばかりじゃないか!」とツッコミが来そうな詰め上がりですね笑
 いや今回は話が違うのです。仮に28歩などと合駒を打ってしまうと、その瞬間29飛の石化が解け玉を取ることが可能になります。よって、この局面での28合は自玉に王手をかける違法手となり指せません。
 28合と指せないし、他に適当な応手も無いので詰みというわけです。
 
 ばか詰で、このような詰め上がりが出現するのはかなり珍しい。初めて見たとき、かなりビックリしたことを覚えています。

 最終手35~71角の受けをなくす26飛限定打も素晴らしいですね。
 敢えて角を狭くする一連の手順が面白く、マドラシの超短編としては一番好きな作品です。

ブログ作品展結果②

ブログ出題
02 /11 2017
■「諸事情で投稿できない?フェアリー作品展」結果
 (1)アンチキルケばか詰 5手
 (2)アンチキルケばか詰 7手
 (3)アンチキルケマドラシばか詰 5手(2解)
 (4)アンチキルケマドラシばか詰 5手(2解)
 



「諸事情で投稿できない?フェアリー作品展」②の解答です。

②アンチキルケばか詰 7手
 2017-01-06d.png
 
 29桂、28玉、73角、37銀、同桂/29桂、18玉、27銀 まで7手詰

【詰め上がり図】
2017-02-10b.png

【解説】
 4題中もっとも素直な作品。手段はアンチキルケならではですが、合駒を稼ぎ、その合駒で詰ませるオーソドックスなばか詰です。

 51地点に利かせる73角はアンチキルケ頻出の限定打です。
 5手目同桂/29桂が「居食い」と呼ばれる手筋で、さながら桂が不動のまま駒を取ったような見た目からその名が付いています(アンチキルケ入門第4回参照)
 
 むしる合駒が金でも飛でもないのはちょっとだけ意外だったかもしれません。
 紐無しの駒で包囲するふわふわした詰め上がりはアンチキルケ特有ですね。

 本作を投稿できない理由は特にありません。ありませんが、普通に採用レベルに達してなかったみたいです。まあそりゃそうか。

【短評】(敬称略)
たくぼん-居食いの筋は慣れたら一目ですが、27銀で詰んでいるのには確認が必要でした。

変寝夢-居食いになかなか気づかなかった。中長編の仕掛けに発展するかもね

占魚亭-銀を出すのがポイントですね。

ぬ-なかなか解けなかったので、アンチキルケ入門で勉強したら、あっさり解けました。銀合は少し意外。
☆私もアンチキルケ入門で学んだ口です。

高坂研-このままだと足りないとは思いつつも、所謂「居喰い」で持駒を増やせることになかなか思い至らなかった。

 みなさんの短評でも「居食い」の言葉が目立ちます。
 居食いを利用した他の作品としてはアンチキルケばか詰作品展第1回9番などがありますね(リンク先参照)。

ブログ作品展結果①

ブログ出題
02 /10 2017
第3回とり研参加連絡(早いと嬉しい)
かしこなフェアリー解答(3月5日まで)
「教材に使えるフェアリー作品展」作品募集
(3月15日まで)
 待ってます。



 結果に入る前にごくごく簡単にアンチキルケルールについて説明(不要な方は読み飛ばしてもらって構いません)。

【アンチキルケ】
駒取りがあったとき取った方の駒が、最も近い将棋での指し始め位置に戻される。

[補足]
戻り方等は以下の細則に従う
1) 成駒は成ったまま戻る。
2) 戻り位置に駒がある場合は戻らずに通常の駒取りをする。
3) 駒取り時、駒が戻るまでを一手と見なす。
4) 金銀桂香(成駒も含む)が5筋で駒取りを行い、複数の戻り先候補がある場合、戻る位置を選択できる。片方にのみ戻れる場合は強制的にそちらに戻る。


 アンチキルケの基本中の基本は51地点を押さえること。
2017-02-10a.png
 上の図はアンチキルケでは詰みではありません。12玉/51玉という棋譜表記が示すとおり、(駒を取る→初形の地点に戻る)までが1手ですので、ここで12地点に利きがあるかどうかは詰みに全く関係がありません。
 先手は13ではなく、52に歩を打つべきでした。玉が駒を取る地点ではなく、玉がワープする地点を押さえるのが肝要です。




 さて「諸事情で投稿できない?フェアリー作品展」ですが、なんと6名もの方からご解答がありました!

解答到着順に
 たくぼんさん、ikironさん、変寝夢さん、占魚亭さん、ぬさん、高坂研さん(太字は全解者)

 フェアリーで、ブログで、しかも複合ルールありの作品展としては大盛況です!
 ありがとうございました!

 意外と縦長になったので4題4分割の結果稿にしました。

①アンチキルケばか詰 5手
 2017-01-06c.png
19香、同角成/22馬、11飛、12馬、13飛 まで5手詰
 
【詰め上がり図】
2017-02-10c.png

【解説】
 以前の記事でも、「ばか詰では不成より成のほうが妙手になりやすい」と書きました。本作はアンチキルケならではの意味付けで玉方の成を達成しています。
 2手目19角成/22馬(駒を取って初形位置に戻るまでが1手)がそれ。4手目12馬を達成するための角成です。初形から詰め上がり図まで、結局角(馬)の13地点への利きは消えません。しかし5手目13飛だけは同馬と取り返すことができないのです!同馬の瞬間、22馬と初形地点に戻ってしまうせいで飛筋が通ってしまいますね。
 このような詰め上がり図はアンチキルケならではのもの。創始者にちなんで「北村手筋」と呼ばれています(アンチキルケ入門 第5回を参照)。
 
 初期の頃の既発表作の修正なので投稿は憚られました。

【短評】(敬称略)
たくぼん-13飛の筋は見えにくかったです。

ikiron-手順を尽くして13同角(馬)を消す。はじめ15同桂の方を消そうとして苦労しました。
面白い手順と思います。
☆「とりあえず一題だけですが、忘れないうちにコメントしておきます。」とのことですので、今からでも他の作品へのコメントも是非!笑

変寝夢-2手目桂バージョンなどもあるかと思ったが、戻る場所が1段目になっちゃうんだね

占魚亭-11飛の前の仕込みが大事。4作中のベスト。
☆ありがとうございます!

-詰上りが見えづらかったです。これで詰んでいるのですね。

高坂研-脳が5手目の局面を詰上りと認識してくれるまでしばらくかかった。
同馬だとself checkなのね。


 敢えて駒を重複させていく感じが伝わっていれば。