FC2ブログ
2020/09/22

【詰将棋鑑賞入門】合駒を動かす5手詰

 ご無沙汰しております。上谷です。
 休みなので詰将棋関連の仕事を一気に色々やっています。
 ところでひとまずこれを見てやってください。



 ヤバいですね☆(いやもう本当にありがとうございます)
 というわけでたくさんの方にツイッターをフォローいただきました。感謝感謝です。
 記念に?ではないですけど、今回はマニア度を抑えて普通詰将棋、しかも5手詰の話をしようと思います。
 普段はフェアリー(変則ルールの詰将棋)ばっかり話しているんですけど、普通詰将棋も好きなので大丈夫です。
 いつも通り、最近発表した自作をまとめようかと思いましたが、おそらく今なら詰将棋マニア以外の方にも読んでいただけそうな雰囲気があるので、このたびはもう少ししっかり書きます。

 世の5手詰の記事とはやや趣向を変えて、"鑑賞"メインの構成とさせていただきます。世に5手詰はそれはもう沢山発表されていますが、"マニアがよろこぶ"5手詰はどんなものかを感じてもらえれば幸い。
 以下にも何作か作品を掲載しております。もちろん解いていただけるとそりゃ嬉しいですが、別に解けなくても全然構いません。
むしろ、解けた解けないで悩むより、「この作品のどこがいいのか」「この作品にはどういう主張があるのか」という見方で作品を見てもらいたいなあと思っています。

 「詰将棋を鑑賞するってどういうこと?」という方は先にブログ内記事『詰将棋鑑賞、超入門!』を読むといいかもしれません。

自作 詰将棋パラダイス発表  

2020-09-22a.png

 解答はまた後ろに載せます。

 さて5手詰の作品の良し悪しを評価するのは難しいのですが、今回はざっくり概要だけかいつまんで話します。マニアな皆さん、厳密に言えば違うだろ!という表現もあるかもしれないけど許してね。

 ひとまず、合駒を動かしておけばそんなにひどい評価は受けません。
 
 あなたが5手詰をつくろうとして、捨駒を入れようを思ったとします。捨駒の意味付けには色々ありますが、まあ盤上の駒を移動させようとしたとしましょう。

2020-09-22c.png

 25金、同金みたいな感じを狙います。

3手詰
 2020-09-22d.png

 25金、同金、27桂まで3手詰。
 金を動かさないと詰まない盤面を考えてみました。金をずらせば角筋が通るというわけです。
 10秒クオリティ。まあこんな感じで「盤上の駒を動かす」と考えるだけでも詰将棋はつくれます。

 もっと欲張ると、この金を合駒で出したいな、となるわけです。

2020-09-22e.png

 55飛に35金合と出してみる。もちろんこのままでは実現しないので、色々な肉付けが必要です。

 キーとなる駒が盤上にもともと配置されているより、その駒を盤上に出現させるところから始められればなんとなく高級感がありそうじゃないですか?
 しかも詰将棋で合駒を出すということは

・合駒の種類を限定する(1通りが正解にして他の駒種だと早詰になるようにする)
・合駒の地点を限定する



 ということが要求されるため、合駒を出すだけでもある程度技術点がもらえます。しかも合駒を動かせば、その駒が二段活用となるわけですから、指し手の感触としてもいい感じです。そう考えると、合駒が評価につながる理由もなんとなく理解できるのではないかなと思います。

 実現のために要する手数ですが、合駒を出すだけで3手詰以上が必要なので、合駒を動かすためには最短5手必要ですね。短く切り詰められることを切り詰める作業も意義があると思っています。

 5手で合駒を動かすパターンは二通りしかありません。
 上の図で35金合を動かすとして

・合駒を要求した駒(55の飛)のライン上で動かす:ペレ(Pelle)
・合駒を要求した駒(55の飛)のライン外に動かす:シフマン(Schiffmann)


 この2通りです。
 これはどの図でも同じであり、受方の合駒を動かす5手詰のすべてが上記のどちらかになっているはずです。

 ペレ、シフマンという名前がそれぞれついていますが、仲間内での話なので別に覚えなくてもいいです。 ※あと微妙に定義が違うかもしれないけどひとまず許して。



 ちなみに、この講座内(無料分のところには無いですが)で斎藤慎太郎先生も使っておられる用語です。これはマニア的には感動ポイントです。

 攻方や受方の駒を上の図に付け足して、この金を動かすためにはどうしたらいいのか、どうすれば詰将棋として成立するか、唯一解となるか考えてみてから、以下の続きを読むとより楽しめるかもしれません(考慮時間5分!)。 シフマンのほうが実現が難しいかな。

-------------------------

【自作再掲】
2020-09-22a.png

【作意順】
95飛、85金、75飛、同金、94角 まで5手詰


 これは上の例でいうと、"ライン上で動かす"パターンです。
 しかし本作の狙いはそこだけではありません。

【投稿用紙より一部引用】 
 合駒をすぐ動かす5手詰……、ではありますが狙いはそこではありません。それは表現の手段でしかない。
 94角という、初手から指せる手をすぐは実行せずに、95飛85金合とあえて角の道を邪魔するような手順を踏まえた後、その金を動かしてその影を貫いて94角で締めるストーリー全体が狙いです。

 ともあれこちらは飛筋上で合駒を動かすペレの手筋でした。

--------------------

 シフマンの解説、加えて5手詰の作例も紹介しておきましょう。

2020-09-22g.png

 上の図に攻方の駒を2枚追加しました。ここから26の歩を25に突いて開き王手を行います。こうすることで飛筋が自分の歩で遮断されるため35の金が自由になります。26金の移動合が可能となるわけですね。合駒がライン外に動くことを可能になるこの一連の手続きをひっくるめてシフマンと呼びます。これを作意順にするのは難しそうですが、どなたかチャレンジしてみてください。

 さて実際の作例。詰将棋解答選手権からの引用です。
 
2020-09-22b.png

【作意順】
 55馬、66香合、77桂、69香成、65桂 まで5手


 シフマンだけでなく最後の桂跳ねで飛筋を遮断するのも洒落ています。

【最後に】
 なんやかんや長くなってしまいました。
 
 作り方の観点で色々話してみましたが、その他、ここのブログで「詰将棋鑑賞、超入門!」などという記事を書いたこともあるのでもし良かったらご覧ください(再掲ですみません)。
http://fairypara.blog.fc2.com/blog-entry-103.html
http://fairypara.blog.fc2.com/blog-category-15.html
スポンサーサイト