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2019/11/30

透明駒ことはじめ1手3手【解説編】

出題編はこちら
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【透明駒ルール】高坂研氏 「透明駒をはじめから(1)」より引用 
         ↑入門記事としてオススメです。

(1) 出題図は合法な局面である。また、双方の着手はすべて合法である。(即ち、双方とも将棋及び詰将棋のルールは守っている)
(2) 先手の透明駒の着手は必ず王手である。
(3) 存在する場所と駒種の両方が判明すれば透明駒は可視化され、それ以降は普通の駒として扱われる。
(4) 詰上りの判定においては、透明駒に対し可能性のあるすべての駒種を代入して、それらが全て詰みを与えるときのみ詰んでいると見做す。

更に、透明駒が透明である故に、以下のことも自然な要請として入ってきます。

(5) 透明駒の着手について、
  a) どの枡への着手なのか
  b) どの駒種の着手なのか
  c) 成ったかどうか 
  は表記できない。
(6) 持駒の表記が「なし」であっても、透明駒が持駒になっている可能性はある(つまり、この「なし」は、「駒台に可視化された駒はない」という意味である)。



また、透明駒の着手を『-X』と表記する場合や、『-I』(Invisible)と表記する場合の両方がありますが、どっちかに決まっているわけではありませんのでとりあえずここではXのほうの表記法を採用します。
 (私自身もどっち使えばいいか分かっていません)

【以下解説】
注1:全て上谷直希作です。クレジットが無い図はココが初出です。
注2:出題図の(N+M)といった表記は、攻方に透明駒がN枚、受方に透明駒がM枚あるという意味です。


【協力詰(ばか詰)】先後協力して最短手数で受方の玉を詰める。

①ばか詰 1手 (1+0)
2019-11-30b.png
  -X まで1手詰

初手は透明駒を使うしかなく、たとえば+12(透明駒が12地点の桂を取っての王手という意味)としてもいいかもしれません。しかしこれは同玉と取り返されて失敗。

 作意順は-Xまでの1手詰。駒取りでない透明駒の王手は23桂の可能性しかありません。そしてこの王手で即詰みとなっています。
 この桂馬は、盤上の桂が跳ねたのか持駒の桂を打ったのかは分かりませんし、どちらかに確定するわけではありません。ただ、どちらでも詰んでいるのは変わりませんので決めなくてOKです。初めての方には不思議な感覚かも。

【Q and A】

Q:本作の解答の表記は『-X』ではなく『23桂』ではないのですか?
A:-Xとなります。
 透明駒が透明駒でなくなる(以下「可視化される」)のは、地点と駒種が分かってから。着手前の状態では透明駒の情報は何も分かっていませんので、Xとしか言いようがありません。
 本作の場合、初手透明駒の王手!と宣言した後で透明駒が可視化されるのです。ただ、それさえ理解していれば 『-X(23桂と判明)』といった表記法はアリかも。現在、厳然たる表記法の決まりは存在していないので、伝われば何でもいいと思います。


 
②ばか詰 1手 (1+0)
 初出:フェアリー時々詰将棋『透明駒はじめてガイド

2019-11-30c.png
  -X まで1手詰

①と異なりX=23桂とは限りません。それ以外の王手候補もたくさんありますが、そのいずれの着手でも詰んでいるので1手詰と判断できます(逆に言えば、1つでも詰んでいない王手がある場合は不可です)。
 ただ、1つ困るのはX=12歩打の着手に関する解釈でしょうか。結論を言えば「Xと指せた以上この手は合法なので、非合法な着手である可能性(12歩打etc)は自動的に排除される」という論理になります。

『透明駒はじめてガイド』該当部分より引用)

→すべての可能性が残っていると考えると、出題図(0手目の時点)ではX=持駒の歩の可能性は当然加味される
→初手-Xとする
→局面、手順の合法性を守るため、X=持駒の歩の可能性が消去される
 という、時系列的には逆立ちした論理展開が生じます。
 この”逆立ち”感が透明駒作品の特徴で、ここが面白いのですが、なにぶん分かりにくいため入門の妨げとなりやすいのが泣きどころです。



 詳細についてはリンク先をご確認ください。

③ばか詰 1手 (0+1)
2019-11-30m.png

 11金まで1手詰

 受方に1枚透明駒があり、これは攻方の王手に対して適宜対応できる受駒として機能してきます。例えば初手31金では同Xと受けられてしまいます。1段目の飛車か、あるいは他の駒(金、銀、角、各種成駒などなど)なのかは分かりませんが、ともかく透明駒に取り返されてしまいます。
 では作意順の11金はどうでしょうか?周囲を駒に包囲されているので、11金を取り返せる合法的な透明駒が存在しません。即ちこの形は、受方がたとえ10枚ぐらい透明駒を持っていても1手詰なのです!

 金を右から打つのか、左から打つのか?同じようでも全く違うのでした。
 
④ばか詰 3手 (1+0)
2019-11-30f.png

 12と、同飛、-X まで3手詰

 ①、②の場合と異なり初手-Xは12金と対応され詰みません。ここで受方は、「初手は12への駒打or移動でした」と自分に都合のいいように解釈しています。
 上記の手順を防ぐため作意順では事前工作として12地点を埋めておきます。そうすれば-Xの可能性は①の場合と同様23桂のみとなりますね。
 
⑤ばか詰 3手 (0+1)
2019-11-30f.png

※透明駒が(1+0)から(0+1)になっています。

 12と、同飛、-Xまで 3手詰

 ④と形も一緒。棋譜表記も一緒。でも中身は微妙に違います。
 攻方は透明駒を持っていないはずなのに、3手目で使っているのはどういうことでしょうか?これが理屈として通る手順を考えます。

3手目に攻方が透明駒を使った
→初手12金は実は駒取りだった


 こう考えるしかありませんね。別の言い方をすれば、「攻方は3手目-Xと宣言することで、逆算的に初手を駒取りに決めた」ことになります。透明駒おなじみの「時系列が逆立ちした論理展開」ですね。ここが面白い!?

 それにしても相手の透明駒を減らして自分の透明駒を増やせるこの筋の強力さといったら!
 ドッジボールで外野の人が相手の内野に当てたときみたいですね。

⑥ばか詰 3手 (1+0)
2019-11-30e.png

 +99、21玉、22金まで3手詰

 「+99」は、透明駒で99の駒を取ったという意味になります。
 ちなみに、この図で99の駒を取って11の玉に王手できる駒は馬しかない(角だと合法な局面が存在しない)ので、初手を宣言した瞬間に透明駒の地点と駒種が確定し可視化されます。 
 
⑦ばか詰 3手 (1+0)
2019-11-30g.png

 -X、21角合、-Xまで3手詰
 
 2手目を指すことで、初手が飛か龍の王手であったと決まります。
 その上で3手目にXとできるのは龍だけですね。即ち31龍(or飛成)~22龍という手順であったと判明します。

[紛れ]
 -X、22歩合、+22では21玉とされX=角と主張されます。

⑨ばか詰 3手 (2+0)
2019-11-30l.png

 -X、33飛合、-Xまで3手詰

 守備駒が強く、22地点や12地点への攻めはうまくいきません。
 2手目、敢えて飛合をすることで3手目を23地点への着手に絞り込むことができます。やたらX=23桂までの詰め上がりが続きますがこれはわざとです(統一感があるかなと)。 

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⑪ばか詰 3手 (0+1)
 初出:Web Fairy Paradise91号 
2019-11-30j.png

 61金、+61(同X表記も可)、42銀まで3手詰
※左右対称解(初手41金~)も正解。

 受方の透明駒の防御力は③で予習済です。本作では透明駒の位置を確定してしまって、そこから届かない位置に銀を据えて詰みとなります。同じようでも3手目52銀ならば透明駒に取り返されてしまいますからね。

 透明駒の駒取り表記については、2019/11現在色々な表記が混在していて悩ましいです。そのうち統一された何かに決まるかもしれませんが。
 
⑫ばか詰 3手 (0+2) ※難しめ。
2019-11-30k.png

 13角、22飛合、41飛まで3手詰

 22地点を埋めたいので初手は第一感。2手目-Xとしたら透明駒の戦力を1枚分減らせそうですが、受方は2枚透明駒を持っているので削ぎ切れません。
 ここでヒントを思い出します。

ヒント:41飛としたいところ。もし41の飛を透明駒に取られるとしたら、その駒種は何?
 答 → 飛か龍しかありません。51や42の金や馬だとしたら非合法な初形となるからです。


 つまり、透明駒が飛や龍でないことさえ証明してしまえばいいのです。飛を品切れにする(可視駒として2枚消費してしまう)ことで、透明駒の種類は分からないけど、少なくとも飛・龍ではないことが確定した局面をつくることができました。

 余談ですが、③と同様、この図は受方透明駒の枚数がたとえ10枚以上でも関係ないですね。1枚だと余詰がありますけど。

⑬ばか詰 3手 (0+1)
2019-11-30a.png

ヒント1;詰ます対象の玉が見えません。つまり玉が透明駒になっているのです!
    適切な王手で玉がどこなのか特定してみましょう。
ヒント2;透明駒は、存在する地点と駒種がともに判明すれば可視化されます(駒種はすでに玉で確定している)。判明した後は普通駒として使えることを利用しましょう。
 
 53歩生、51玉、52金まで3手詰。

 ヒント2を読めば初手は発見できたのではないでしょうか。初手を指した瞬間に後手玉の位置が確定し透明駒ではなくなるので、2手目から普通の玉と同じ使い方ができるのです。
 同じようでも53歩成では玉位置が確定しないので透明玉のまま扱うしかなく、2手目の表記は-Xとするしかありません。これでは52金としても詰んでいるか分かりませんね。

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⑭ばか詰 3手 (0+2) ※応用です。腕試し的。
2019-12-01a.png

 91角生!、-X、28角成まで 3手

<他の作品より難しいので詳しめに書きます>
 玉位置が確定しないことには詰みそうにありません。手が絞れそうな順を探します。初形の飛角があからさまにバッテリーの配置なので、開き王手を主張したいところ。しかし例えば初手73角成(生)では玉が18地点の他、62や51地点にいるかもしれないので透明性を剥がせません。ヒネって91角成でも、81や92地点の可能性が残ります。
 作意順の91角生!はどうでしょうか。この角自体が王手をかけられる玉位置は存在しないことをご確認ください。そうなると初手は開き王手しかないことになり、晴れて18地点の玉が確定します。
 初手を指した瞬間、相手玉は透明駒ではなくなります。よって2手目の-Xはもう1枚の透明駒と判断できます。この駒種は分かりませんが、28地点への合駒であるのは間違いありません。あとはこれを28角成と取れば詰みです(3手目の表記は『同角成』のほうがいいんですかね?)。
 確認いただいた通り、本作は透明駒余りとなる作品です。ちょっと不思議かもしれませんが、2019年現在のルールでは透明駒余りが認められているので完全性に問題はないと考えています。

 「そうは言ってもなんだか気持ち悪いなあ。透明駒を0+1にして2手目を29玉とかにできないの?」と思われるかもしれませんが、それは2手目28歩合などがあり不成立です。

 とまあ、最後に派手めなのが1作あってもいいかな!?って感じの出題でした。
 ルールのじゃなくて中身の話をすると、不成~成のオマケ付けの最短スイッチバックになったのはラッキーだったなと思います。シンプルにできたのでちょっとお気に入り。

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いかがだったでしょうか。透明駒特有の雰囲気がなんとなくでも伝わればいいなと思います。

 透明駒の世界はまだまだ広大ですので、詰パラ12月号の出題はもちろんのこと、WFPやプロパラもチェックしてみてください。
他にも入門記事が読みたい!という方には透明駒はじめてガイドがオススメです。
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