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2015/12/04

二歩禁

フェアリーでの話です。
あっ、ページ閉じないで!

■受方の二歩禁

書きかけのブログさんの記事のなかにこんな記述があります。


ところでフェアリーの一部ルールなら歩を打たずに(移動させて)二歩を発生させることができるはずだが、それは禁手扱いされているのだろうか。


結論から言えば、禁手扱いされていると言っていいと思います。
実例を見てみるのが早いですね。


Sub氏作 (詰将棋パラダイス/2011年4月)
安南詰 9手

2015-12-01b.jpg

【安南】味方の駒が縦に並ぶと、上の駒の利きは下の駒の利きになる。
安南ルールが付加された普通の詰将棋と思っていただければOKです。

12金 同玉 22金 13玉 12金打 同香 24金 同歩 23金 まで 9手

4手目に同玉とできそうですが、玉が香車の利きになっているため13玉と前に逃げるしかありません。安南では玉を弱い駒の上に乗せるのが王道中の王道になります。詰め上がり候補筆頭です。

6手目同香の局面(図1)
2015-12-01a.jpg

めでたく玉が香の利きになり身動きがとれなくなりました。23金で詰みですね?

……残念。ここでは14歩が玉の利きになってしまっているので、23金に対しては同歩!の受けがあるのです。これは気付きにくいですね。

図1からの正解は24金、同歩の2手を挿入してからの23金 までの9手詰になります。

先ほどと違う点は、敢えて2筋の歩を取らずに盤面に残したところです。
最終手の23金に対して同歩の応手は依然残っているように思われますが、2筋に歩が残っているために「同歩」の一手が二歩禁ルールに違反する反則手になっているのです!(同様の理由で、図1での24金に対して同歩寄とはできません)

適当な応手が尽き、よって詰みとなります。
取れる駒を敢えて取らない「取らずの手筋」をフェアリーに応用していくなかで、1つの成功例と言えるでしょう。

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■攻方の二歩禁

安南についてもう少し踏み込んでいきましょう。
安南ばか詰の入門として、以下のホームページがあります。とてもわかりやすく説明されているのでオススメです(私もこのページで安南ルールを学びました)。

安南ばか詰入門 → http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/annan1.html

以下少し長いですが記事の一部を引用させていただきます。


 次の図を見て下さい。(OFMより)
20061216151254.gif

 2五歩は下の2六金の利きになっていますので、1四玉への王手になっているようにみえます。
 だけど玉を取った時に1四歩となるのですが、1二歩が存在していて二歩ですね。
 はたして2五歩は玉を取ることが出来るのか?また別の言い方をすれば王手なのか?
 実にややこしい問題です。

 解釈は2つ、

 1つは王手はかかっていると見て、2五歩は1四玉を取ることが出来る。OFMでは「利き二歩有効」と言う言葉で説明されています。
 つまりこの図が詰上りということになります。

 もう一つが、1二歩がある為、1四歩とはいけない。よって玉を取ることは出来ないし、王手はかかっていない。
 OFMでは「利き二歩無効」と言う言葉で説明されています。この場合はこの図より1一歩成とした図が詰上りということになります。

 ややこしいと言ったのは、この二つの解釈がフェアリー界で現在統一されていないということ。

 王手がかかっていると見る解釈 : OFM、FM(通常)
 王手はかかていないと見る解釈 : 詰パラフェアリーランド

 と現在はなっているようです。どちらかに統一されればと思います。



「利き二歩」という言葉が出てきました。要するに「そこへ動けば二歩となるような地点への(上の図で言えば25の)歩の利きは果たして有効なのか?無効なのか?」という議論があり、その解釈が二分している現状があるということになります。

 私はどういう立場かと言うと、解釈としては有効のほうがしっくりくるけど、作品としては利き二歩無効のほうが面白いものがつくれそうだから利き二歩無効を利用して創作している……といった立場です。

この二歩禁問題は何も安南に限った問題ではなく、歩の性能が変化しうるルール(メジャーどころでは安南/安北、対面/背面)すべてで起こり得るものです。

そしてつくる側としては、それを使って面白いことができるならば使ってやろう、とまあ単純に考えております。


さてここまで述べたところで今月号のフェアリーランド(つまり利き二歩無効の発表先)の結果稿を見ていきます。

詰パラ 2015/9 上谷直希作  背面ばか詰 7手

2015-12-03a.jpg


【背面】敵駒と背中合わせになったとき、互いに利きが入れ替わる。

初手75歩は必須。
龍の利きが歩になり、歩の利きが龍になる正真正銘の逆王手です。
さてその75歩に対して何かしら合駒することになります。65合に対してもし54歩としたならば玉の利きが歩になり、歩の利きが玉になるわけですから詰みになります。安南でもそうであったように、玉を弱い駒の利きにする筋は常に考慮しなければなりません。
ただいきなり54歩とするのは打歩詰の禁手。よってどこかから歩を動かす筋で54歩を達成するのが目下の目標となります。本作の狙いは先打「動」歩詰だったわけです(「突き歩」ではないのがフェアリーらしいですね)。

作意は二手目65桂合。限定合の理由はその後すぐ判明します。65桂に対しての56歩打に57桂不成が利き二歩無効を活かした大胆な一着。
2015-12-03c.jpg


上の図にて56の歩は桂の利きになり王手はかけておらず、75の歩(龍の利き)は確かに55地点に効いてはいるが、もし次に55歩として玉を取ったとしたら二歩になってしまう。この二歩となってしまうような利きを無効(王手と判定されない)とするのが「利き二歩無効」の立場というわけです。

以下は64歩と跳ねて二歩状態を解除してしまえば、75の歩の利きは一転して有効となります。そこで今度の合駒は65金(飛車はダメ)。54歩のスライドを成立させるための援護射撃ですね。

2015-12-03d.jpg

手順を振り返ると、
75歩、65桂、56歩、57桂不成、64歩、65金、54歩 までの7手詰 となります。

広義の先打動歩詰ですが、そこに二歩禁を絡めつつ、歩が途中で最終目的地以外の地点を経由するのが珍しいかもしれませんね。

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コメント

非公開コメント

No title

面白い話題ですね。
自分なりにも考えてみましたが、まず二歩の性質から考えていくとさらに興味深いです。

通常の将棋のルールにおいて、歩は横に動くことはありません。
であるならば、「二歩」において想定されているのは、「歩を打ったときのみ」であるのは明白です。
すると、「歩が横移動したとき」の取り扱いは、完全にフェアリーの世界で定義しなくてはなりません。
この段階で第一の分岐があることになります。すなわち、「盤上の移動による二歩は禁手としない」という可能性と「盤上移動による二歩を禁手とする」という可能性です。

次に、「盤上移動による二歩を禁手とする」場合に、この二歩の性質は何なのか、の定義が必要です。
通常の将棋では区別する意味がないのですが、「歩の横移動」が問題なのか「着手の結果たる二歩状態」が問題なのか、と分類できそうです。

前者については、「利きの無効」というこの記事の文章に対応し、「該当する利きが存在しないこと」を根拠として、横移動することが「利きのないところに駒が移動する」という反則を構成すると考えることになります。

後者については、「利きの有効」というこの記事の文章に対応し、「移動の結果生じる二歩という状態」が反則の根拠として考えられることになりそうです。

盤上移動型の二歩を「移動の出来ないところに移動する反則」のタイプだと考えると、利きがないのだから王手にはなっていないことになります。
一方で盤上移動型の二歩を「移動後の二歩という状態に対する反則」と考えると、王手そのものはかかっていると考えていいと思います。

最後に、「詰み」の概念をどう定義するかの問題も残っていると思います。
一般的に「詰み」とは「王手がかかっており、王手を合法手によって解除することができない状態」を指すと思います(無駄合の話はここでは無視します)。
しかし、この「詰み」という概念は伝統ルールの下では、「王に対する攻方の駒の利きは、その移動が合法である場合しか存在しない」ので、その移動が非合法な場合になお詰みと言っていいのか、という問題があるはずです。
これについては、「利きを有効としておいてなお詰みと認めないこと」があまりにもナンセンスなので、議論のための議論でしかないのですが、一般の将棋においても「玉を取ること」は想定していない(王手放置を反則と考えると、玉を取る前に勝負が決まる)ことを踏まえて、次の着手が合法である必要はない、と理由付けするのがいいのかな、など考えております。

長々と書きましたが、この問題のポイントは、「横移動型の二歩を禁手とする場合、その禁手としての性質は何なのか」という点にあると思うのですが、いかがでしょうか?

Re: No title

興味を持っていただけたようで嬉しいです。
以下は簡潔ですが自分なりの解釈を述べようと思います(厳然たる事実〔ルール〕が決定されていたとしても、それの解釈は人それぞれでいいでしょうから)。

> 一方で盤上移動型の二歩を「移動後の二歩という状態に対する反則」と考えると、王手そのものはかかっていると考えていいと思います。

私としてはやはり「移動できるところに移動できない」と解釈することには抵抗があります。二歩はその状態が反則とする考え方のほうが自然に感じました。

> 長々と書きましたが、この問題のポイントは、「横移動型の二歩を禁手とする場合、その禁手としての性質は何なのか」という点にあると思うのですが、いかがでしょうか?

二歩としてはその状態が反則なのだと書きましたが、では必然的に利き二歩有効の立場にあるかというと実は微妙です。
私の中での争点は「駒を取るのが先か、地点に行くのが先か」です。

将棋の終了条件のうち、
1,王様が取られる(受方の負け)
2,反則手を指す(攻方の負け)
の2つがひとまずはあります。

今回、「二歩となるような手で王様を取った」としましょう。
王様を取るのが先ならば、2より1が優先され詰める側の勝利となり、反則の適用が先ならば詰める側の負けになります。カードゲームでの言葉遊びみたいな考え方ですが、この「どのフェイズが時間的に優先され適用されるか」という考え方はひとまずは感覚的に受け入れやすいのではないでしょうか。

そして普通の将棋で▲22角成と角交換するときのことを思い出すと、相手の角を入手してから自分の角を22へ進めることが多いでしょうから、「駒を取る→その地点に行く」の順番が我々にとっては自然なように思います。利き二歩有効のほうがしっくりくる派が多いのもこのあたりが理由かもしれませんね。

もちろん、私として最も大切なのは「果たして面白いのかどうか」ですから、つくるたびことに使い分けています。現状では発表先ごとに解釈が異なっていますから、これ幸いと作品ごとに発表先を決めるという形で分別をつけているのが現状です。



No title

一つの解釈に統一する必要はないと思っています。フェアリーはとりわけそういう分野だと私は見ていて、ただ、不要な混乱や無駄なルールの乱立を避ける意味で、いろいろと整理しておくのは、良いことなのでは、と思っています。

私はフェアリーはやってないですし、ルールをこねるのが楽しいだけなんですけど^^;

>将棋の終了条件のうち、
1,王様が取られる(受方の負け)
2,反則手を指す(攻方の負け)
の2つがひとまずはあります。

この部分についてはもう少し整理できると思います。
私も書いているとおり「王手放置を反則と考えると、玉を取る前に勝負が決まる」という解釈があります。
将棋連盟のHPでも「王手放置」を反則と分類していますし、反則はその時点で即負けという規定を採用しています。
そうすると、少なくとも連盟は王手放置があった時点で勝負は決すると解釈していて、利き二歩状態の歩が玉を取るという挙動は実現しないのです。

>どのフェイズが時間的に優先され適用されるか

という考え方を見ますと、玉を取る手と反則が判定される手よりも前のフェイズで決まるという解釈が出てきます。

将棋の終局条件に玉を取ることを採用する場合には、どのフェイズが時間的に優先されるか、という説明の仕方は、なるほど、と思いました。
これは私の説明のしかたでは「詰みの定義」の問題に対応すると思いますが、フェイズの問題として説明すると直感的に分かりやすいです。
利きが有効なのに詰みと認めないのはナンセンスといってしまいましたが、こう説明されると、ありだな、と思いました。

Re: No title


> >将棋の終了条件のうち、
> 1,王様が取られる(受方の負け)
> 2,反則手を指す(攻方の負け)
> の2つがひとまずはあります。
>
> この部分についてはもう少し整理できると思います。

確かにその通りですね。文字通り「ひとまず」の提示ですのでご容赦ください笑
王手放置そのものが反則なのは初耳です。そうなってしまうと結局は「詰み」と「王手」とは何かという定義の議論は避けられないのかもしれません。うーん、ここまで手をつけると泥沼化しそうで回避したいところですが笑


> 将棋の終局条件に玉を取ることを採用する場合には、どのフェイズが時間的に優先されるか、という説明の仕方は、なるほど、と思いました。

ありがとうございます。あくまで解釈モデルに過ぎないものですが、理解の一助になればと思います。どうしても「定義」の問題として議論すると、個人の哲学と哲学のぶつかり合いとなってしまい紛糾は避けられないところですので、時間的「判定」の問題とすり替えてしまえば無用の衝突を回避できるかなと笑
まあそうでなくともフェアリーでは駒取りに関わるルールも多く、玉取り以外のそれらでも問題になるところです。駒取り時の挙動は人間以外でもプログラム(解図ソフト)上でも非常に重要なポイントとなるんじゃないかなと思います。判定をアルゴリズム的に考える今回の考え方は他のフェアリールールでも応用のきくものですから、参考にしていただければ幸いです。

No title

背面ばか詰。この駒数、この手数とは思えない情報量。サラッと紹介してますけど完璧な表現の傑作と思います。

Re: No title

過分のお褒めの言葉をいただきまして、恐縮です。ありがとうございます。
今後もよりよくつくろうとする気持ちを忘れないようにしていきたいです。
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