二歩禁(2)

フェアリー
12 /08 2015
  二歩禁(1) 
  ツイン


↑を先に読むといいかもしれません。

■二歩禁(2)

 1つの決定版を紹介いたします。

 とはいえ作者である占魚亭さんのブログからの引用ばかりになってしまいました。

【背面】 ある駒Aの直後に相手の駒Bがある時、AはBの動きになる。1段目の桂香歩、2段目の桂も行き所のない駒にはならない。
【ばか詰】 双方協力して最短手数で受方玉を詰める。透かし詰は詰みと認められない。
【利き二歩有効】 玉を取ると二歩になる手を王手とみなす。
【利き二歩無効】 玉を取ると二歩になる手は王手とみなさない。


20151202211353.jpg


以下答えを書いてしまっているのでご注意ください。









 (A)56歩、54玉、55歩、56桂、44歩、同玉、43歩生まで7手。

 まず(A)のほうからいきましょう。
(A)のほうは先打動歩詰としての王道の展開。当然ながら、初手から44歩、同玉、43歩としてしまっては打歩詰ですね。

 図1のように、トドメの歩を一旦盤面に控えておくのが深謀遠慮の戦略となります。
2015-12-07d.jpg


 (B)は出色の出来と言っていいでしょう。

 (B)56歩、44玉、64歩、54玉、55歩上、56角、44歩まで7手。

 4手目△54玉が利き二歩無効を活用した宙ぶらりんの応手。玉を詰みやすいところへ誘導します。

2015-12-07e.jpg

 以下は利き二歩無効を鮮やかに解消しての終局。視界が開けるような感覚です。
 
2015-12-07g.jpg

 誰しもが一度は考える、2枚龍での詰め上がり。こうも綺麗に決められては脱帽するしかありません。

あまりに端正な初形から、背面ルールを活かした充実の手順で、これを完成品と呼ばずして何を完成品と呼ぶのか!素晴らしい作品だと思います。

-------------------------

 さてここからツインの話になります。

 本局の出題法は明らかにツインを意識したものです。さて問題の2種の解について比較してみると、それぞれ全く別物で、手順そのものに比較する場所はないように思われます。
 では本作はツインとして失敗作で、どちらか一方、例えば(B)だけで出題したほうが良いのでしょうか?

…確かに少しはその方向性も考えましたが、やはりツインでの出題のほうに軍配が上がるかな、と判断しました。
 何故か。

 今回は利き二歩有効/無効の判定によってそれぞれの唯一解性、独立性が確立されています。要するに(A)の条件が(B)の手順を制限し、(B)の条件が(A)の手順を制限しているから、両者は唯一解となっているのです。ここに私は両者の関連性と対称性を感じました。

 図再掲

(A)〔利き二歩有効〕の途中図
2015-12-07d.jpg

 作意はここから44歩と王手しますが、これは(B)の条件下では王手になっていません。よって(B)ではこの手順を再現できないことになります。

(B)〔利き二歩無効〕のほうはわかりやすいです。
2015-12-07e.jpg

 この図での54玉は、(A)の条件下では合法手でないことは明らかです。やはり(A)ではこの順を再現できません。



 ただ私は非常にひねくれています。物凄くいやらしく考えると、
 
 ルールが違うんだから手順が違うのは当たり前じゃないか
→ルールも違い、また手順にも関連の見いだせないものを並べてツインと呼べるのか?

 とも言えるかもしれません。実際少し考えました 確かに今回、両者ともルールが違います。ただ、ただこのルールの違いは背面ルール全体で言えばごくごく僅かな差であるはずです。
 世にあふれる背面ルールの作品は、利き二歩の解釈どちらを採用しようとと、手順に何ら関係のない作品が99%を占めます(当社比)。つまり両者はほぼ一緒の条件と言えるのです。その上、図面自体は全く同じですし。違うのは二歩の扱いだけ。
 
 そんな枝葉末節のような一行のルールが、全く同一の局面である(A)と(B)の間で相互の抑制関係を成立させている。

 冷静に考えると、これはかなりスゴイことだ。同じだからこそ浮き彫りになる違い、まさしくツインの醍醐味そのものじゃありませんか。詰将棋の自然美がここにはあるように感じられます。だから本作は、ツインでいい!ツインがいい!
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

No title

拙作への熱い解説、ありがとうございます。
パラ9月号を見て自分も創ってみようかなと軽い気持ちで手掛けたものなので、ここまで高く評価されるとはと驚いています。
上谷さんと同条件で創っても二番煎じにしかならないので、違いを出すにはツインしか残されていなかったのです。

No title

ツインの切り分け(局面ではなくルール、それも利き二歩有効無効)がウィットに富んでいますね。
私には、作品形式も「作意」として鑑賞に値するものでした。
また、有効無効両ルールの差異を明確に説明しながら作意手順でガツンと衝撃を与える、啓蒙作としても理想的なつくりだと思います。
人知れず(?)発表されたこのような作品を広く紹介することはとても良いことだと思います。

No title

占魚亭さん

 自作を創作動機にしていただけるとはとても光栄です。ありがとうございます。
条件はあくまで条件に過ぎません。それを用いて何をつくるか?そこに創作者各自のオリジナリティが生じるのだと考えます。ですので同条件=衝突というわけではないでしょうし、気楽につくっていって大丈夫だと思いますよ。

暇さん

 全くの同感です。クレバーな出題法だなぁと感服しきりでした。
 本ブログが「広い」自信はありませんが、紹介させていただくことに意義があったならば嬉しいですね。

ue

自称フェアリストです