フェアリー入門:透明駒(2)

透明駒
01 /29 2016

【透明駒】位置・種類が不明の駒。
着手の合法性、攻方王手義務を満たせる可能性があれば、それを満たしているものとして手順を進めることができる。
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/wfpr2015.pdfより

詰将棋 5手(1+1) 〔2015/9 WFP フェアリー入門〕

2016-01-29c.jpg

 紛れがないので投稿してしまいましたが、変化がひたすらややこしいので難しかったかもしれません。ただ狙い自体は明快です。

 ばか詰ではないので相手は抵抗してきます。


 初手は-Xしかありません。(-Xの表記では駒取りはありえないので)1筋からの王手であることは分かります。しかし分かるのはそれだけで、どこから、何で王手しているのかは皆目見当がつきません。そしてこのことは攻方、受方双方に言えることです。攻方の手を規定できるのは攻方だけではないのです。後手も抵抗するわけですから、透明駒をいかにコントロールするかが双方にとって争点となるわけですね。

本作は2手目の応手がすべてです。順に考えていきましょう。

○-X
 2通りに大別できます。
(1)初手で王手した透明駒を透明駒で取った
(2)透明駒の王手に対し透明駒で合駒した


 (1)ならそりゃあもう金輪際詰みません。こちらと決まってくれれば受方としても嬉しいわけです。
 しかし、さらに3手目-Xとされてしまうと(1)の可能性が消えてしまいます(取られた駒で王手できるわけがない→王手できるということは取られていない)。
 よって1~2手目の手順が(2)で確定してしまいます。その上、3手目に受方透明駒も取られていることまで確定しまい途端に受けなし。最悪です。

 3手目の-Xの返し技で早詰となりました。

-------------------------

「-X」がだめなら適切な応手はもはや合駒しかありません。そして合駒した瞬間、初手は1筋の香か飛か龍によるものだったとわかります。

○12合 
 +12と返してしまうとマズイ。透明駒で取り返されてしまいます。

2016-01-29d.jpg

 こんな局面だったのだと受方に主張されるわけです。
 ですので12合に対しては同桂成としましょう。12に利きの届く透明駒の存在はありえないのでこれで詰みです(2筋のやたら大仰な壁が作意成立に必須な理由の1つにこの変化があります。すぐかしこは詰まなくなってしまうので…)

○中合
 例えば13歩とでもしましょうか。取っても良さそうですが、もっと効果的に相手を追い詰める王手があります。

  この瞬間での-X!是非覚えていただきたい手順です。

  「え、でも初手に王手した透明駒は13より下にいるはずで、その駒が王手しようと思ったら+13しかないんじゃないの?」
  確かにその通り。だからこそ、-Xの着手は初手の透明駒によるものではありません。
  しかし、攻方には当初1枚しか透明駒はなかったはず。一体どこにもう1枚の透明駒があるのか?
 

  そう、「初手に相手の透明駒を取って、それを使った」と主張しているのです。

2016-01-29a.jpg
 1筋の2枚の香が双方の透明駒だったとして、こんな初形が想像できます。

 相手の透明駒を無効化して、こちらの戦力は増える。説明不要の強力さです。

  『-X、13歩、-X』とした局面は、実はもう詰んでいるのです。うーん、強い。
 2手目金合と頑張ってみても、『-X,13金合,-X,12金,+12』で同手数駒余り。これはどの地点の中合でも言えることです(例:『-X,14金合,-X,13金,+13』)。相手の透明駒を奪ってしまっているので、受けようがありません。

-----------------

 すべての応手が尽きてしまったように思われます。
 それもこれも、相手の透明駒を取って、それを使う手筋があまりに強力すぎて、透明駒を奪われてしまうことが確定してしまうのが悪いのです。なんとかこの手筋を回避する方法はないでしょうか?

------------------------

 駒を取られないためにはどうしたらいいのか?
 ものすごい初心的なところに戻ることができるのが透明駒の面白さでもあります。普段、我々はどうやって駒を取っているのか?当たり前すぎてスルーしがちですが、駒取りのためには、駒を取る主体が盤に必要なのです。つまり、初手を持駒由来だと主張してしまえば、駒取りの可能性が消え、前述の手筋を使えなくすることが可能になります。 

 
 2手目の応手、正解は18飛!です。

 
 これによって初手は19からの王手だったことを確定させてしまいます。
 19にあった透明駒を9段目の透明駒(飛または龍)で取った可能性は、飛車を品切れにすることで消してしまいました。
 だから初手は19香で確定です(透明性は消失します)。盤の香を動かして「19香」という着手をするのは不可能ですから、この香は持駒由来ということになり、初手の駒取りの可能性も潰えます。

 よって3手目に-Xとすることがやっとのことで不可能になったわけですね。
 18飛合に対しては同香しかありません。

 正解順は-X , 18飛 , 同香 , +18 , 12飛 まで5手詰 となります。

 飛車を品切れとすることで延命した玉方ですが、皮肉にも4手目の透明駒が飛車ではないことも同時に示されてしまいました。よって最終手を透明駒で取り返すことはできず詰みとなっています。

  結果稿 → http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/WFP90.pdf

 もっと入門チックな問題を出すべきだったのかもしれませんが、そのルールを面白いと思ってもらえないと、いくらルールを理解したところで始める意欲は出てこないでしょう。易しさと内容を兼ね備えた作品が1つの目標ですかね。

 透明駒の創作は、自分を試されているような気がします。ポテンシャルが青天井なルールを前に、自分はどこまで盤面を把握できているのか?自分の力が内容に直結するルールです。まだまだ力不足(まあ全部のルールで言えることですけど)。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

質問

> そう、「初手に相手の透明駒を取って、それを使った」と主張しているのです。

相手の透明駒が歩で、『-X、13歩、-X』とした局面が打歩詰になっている可能性は排除しなくてよいのでしょうか?

No title

着手が合法であることは保証されていますので、禁手となるような手は自動的に排除されます。今回の場合だと、「-Xと指せた→じゃあこの手は禁手じゃない→打歩詰ではない→取ったのは歩ではない」と、こんな理屈になります。

 透明駒って打歩詰とは相性悪いんですよねえ。

No title

なるほど。ありがとうございます。

ue

自称フェアリストです