2016/02/06

5手ばか詰の手筋(2)

第二回:受方の成/不成

 最近は推理将棋のことばかり考えています。手順の自由度が高く、検討が本当に大変ですね。
 いつも柿木先生とFM先生に助けられている身ですし、苦しむ創作もたまには必要かもしれません。
 
 さて5手ばか詰です。今度は受方の駒に着目してみますよ。
 例えばこんな図があったとしましょう。

ばか詰 5手

2016-02-06a.jpg

27金、同飛不成、17金、同飛不成、26金 まで5手詰

 受方の戦力は、弱いほうが詰め上がりの邪魔にならないだろう…。そんな考え方が当てはまる手順です。当然ながら飛車を成ってしまうと最終手を26同龍と取る手が生じますね。

 前回の記事で「普通に考えれば攻方の駒は成ったほうが得」だと確認したのと同様に、「普通に考えれば受方の駒は成らないほうが得」なように思われます。

 しかしこうするとどうでしょう?

ばか詰 5手

2016-02-06b.jpg

27金、同香成、17金、同成香、26金 まで5手

 香と杏を純粋に比較できるわけではないので、適切な例とは言いがたいですね…。
 ただ、17への利きを強くしたほうが有利だというのは、ばか詰ならではの感覚なのではないかなと思います。


 純粋な成生の比較でいうと、自作ではこんな例があります。

 ばか詰 5手 (Fairy of the Forest#44)

2015-11-18b.jpg

 38香、同飛成、18角、27龍、37銀打 まで5手

 二回目の登場です。龍と飛の比較ならば、きちんと上位互換/下位互換の関係だとみなせるでしょう。
 敢えて受けの駒を強くしないと詰まないわけです。もちろんそれだけでは一作のテーマとしてまだ弱いですから、39香と38香の比較も盛り込んでみました。いかがでしょうか。

--------------------------

 「普通に考えれば受方の駒は不成にしたほうが得」だということ。その上で成る選択をしたほうが得となる場合もあること。この2つが今回のポイントです。創作、解答、鑑賞の際に役立てていただければと思います。

 最後はこのテーマでの作例を紹介して終わりましょう。

 ……。

 
 あれ?このテーマでつくられた作例、案外ありません。
 知らないだけだったら申し訳ないんですけど、少ないことには変わりはないはず。

 作家のみなさん、狙いどころですよ。


---------------------

〔追記〕
神無七郎さんに紹介していただいた作品の図面を貼っておきます。



「久米良昭/詰将棋パラダイス/1972年6月」 ばか詰 #5
2016-02-10a.jpg

「市木知宏/詰将棋パラダイス/1973年7月」 ばか詰 #7
2016-02-10b.jpg

「八尋無段/詰将棋パラダイス/1974年2月/角を詰める」 ばか詰 #13

2016-02-10c.jpg

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

受方の成

いつも楽しみに拝読しています。
ちょっと面白そうなテーマだったので調べてみましたが、受方が利きを包含する駒に成る協力詰は結構古くから作例があります。

「久米良昭/詰将棋パラダイス/1972年6月」 ばか詰 29香 +金2歩, 15香17玉26歩36桂 #5
「市木知宏/詰将棋パラダイス/1973年7月」 ばか詰 46王48香 +桂, 23桂25歩33飛35歩36桂43玉57飛64角65桂 #7

市木氏の作品は逆王手の連続で手順も面白いですね。
この作品は7手ですが、「受方の駒の利きを止めるために飛が成る」のは原理的に5手でも実現可能です。

ちょっと変わった作としては、「角を詰める」作品で角が成る例があります。

「八尋無段/詰将棋パラダイス/1974年2月/角を詰める」 ばか詰 65歩 +桂3, 51角63歩69と85歩91香 #13

フェアリーデータベースで過去の作を調べると結構面白いものが出てきますね。

Re: 受方の成

紹介ありがとうございます。
1970年代からありましたか。特に市木氏の7手詰は手順も面白いですね。新鮮な意味付けです。
また後日図面だけでも作成してみようと思います。