2015/11/18

5手ばか詰を考えよう(3)

■トドメは金(追記)
 
 ここまでのポイントを改めて確認してみましょう。
1,頭金、腹金、尻金
2,支え駒としての角
3,モデルメイト

 これらのポイントを踏まえた上で、とり研でも話題となったくるぼん氏作の5手詰を振り返ってみます。
6MA.png

43銀 44玉 34銀成 45玉 44金 まで 5手

 どうです?全ての項目に見事当てはまっていると思いませんか?
 
 しかし慎重な方ならば「本作を知っていた上でポイントをでっち上げたんだろ」と勘ぐりたくなると思います。もっともな疑問です。私としても、それに言い返せるような証拠は持ち合わせておりません笑
 もう、騙されたと思って信じてやってくださいm(_ _)m

 さてこれまでの知識をもとに改めてくるぼん氏の作品を眺めてみると、納得のいかないことがあります。


 なぜこの戦力で余詰が無いのか、です。

 1)頭金の詰め上がりを思い出してください。
2015-11-12a.jpg

 銀と金を組みあわせるだけならば3手で可能ですので、5手ばか詰において銀と金を同時に持駒にするのは余詰リスクが高いはずですが…?
 この疑問から、配置の妙が見えてきます。

 仮にくるぼん氏作の56龍配置を56ととした場合、こんな余詰が一例としてあります。
 64馬 43玉 34銀 44玉 45金 まで 5手
 43銀 63玉 73馬 53玉 54金 まで 5手


 56と配置をさらに56歩と弱体化させると、こんな余詰が出てきます。
 64馬 44玉 35銀 45玉 46金 まで 5手
 53金 44玉 35銀 45玉 46馬 まで 5手
 36馬 64玉 75銀 65玉 66金 まで 5手
 など

 各余詰を並べることにそれほどの意味は無いのでスルーしてもらって構いません。ただ大切なこととしては2つあって、
1,すべての余詰がものの見事に頭金(またはその応用)であること
2,そしてその上で詰め上がりの玉位置がそれぞれ異なっていること です。
 
 5手ばか詰にて、持駒に由来する余詰は無為無策ならばあらゆる場所で再現可能であるため、余詰防ぎの配置を増やせばならぬ危険性が非常に高いのです。これから創作しようと思っている方々ならば、このような余詰の特性を知っておいて損はありません。
 そして自身の利きを精一杯伸ばして、すべての余詰を防ぎきっている56龍配置。
 一騎当千の活躍を再発見できるのではないでしょうか。
 
 たかが余詰防ぎ、されど余詰防ぎです。どう余詰を防いだかが作品の完成度に与える影響はもちろんのこと、実は作意順にも間接的に関わっています。ばか詰では変化がないため、紛れに嵌まりでもしない限り作意順の全体像を瞬時に把握でき、その呆気なさは作意順の感動を薄めかねないからです。この性質は特に短編で顕著になりますね。
 その点本作は紙一重で余詰を防いでおり、その危ういバランスの下で、かつての余詰は深い良質な紛れに生まれかわります。詰みそうで詰まない絶妙な形を保って不利感のある作意順を成立させている本作は、5手ばか詰での一つの完成形といえるでしょう。

…どの層に向けての記事?
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